在宅療養において「薬」や「医療処置」という言葉は、処方薬・市販薬・インスリン注射・人工呼吸器・ストーマ管理・中心静脈栄養など、非常に幅広い範囲を指します。複数の疾患を抱える高齢者では、多種類の薬を同時に服用している場合(ポリファーマシー)も多く、飲み合わせや副作用のリスクを家族だけで管理することは容易ではありません。
また、気管切開や尿道留置カテーテル(バルーンカテーテル)といった医療的処置を自宅で継続するケースも増えており、「何をどこに相談すればよいか」と迷うご家族・ケアマネジャーからのお問い合わせは少なくありません。
このページは、そうした悩みを解消するためのピラーページ(全体案内)です。
- 高齢の親が複数の薬を飲んでおり、飲み忘れや飲み過ぎが心配
- 処方箋の見方や有効期限がわからない
- インスリン注射をご本人が自己管理できなくなってきた
- ストーマ(人工肛門・人工膀胱)の装具交換を自宅でどう行えばよいか
- 在宅人工呼吸器の管理に不安がある
- 心肺停止・蘇生に関する方針(DNAR)を在宅でどう決めればよいか
- 訪問診療でどこまで対応してもらえるか知りたい
医師が発行する処方箋に基づいて薬局で調剤される薬を「処方薬(医療用医薬品)」といいます。一方、薬局やドラッグストアで購入できる薬を「OTC医薬品(市販薬)」と呼びます。処方薬は医師の診断と処方が必須であり、有効期限や用量・用法を守ることが安全使用の基本です。
処方箋の読み方や有効期限(原則として交付日を含む4日以内)については、処方箋の見方と有効期限|在宅患者の服薬の基礎で詳しく解説しています。
市販薬(OTC医薬品)の分類や高齢者が注意すべきポイントについては、OTC医薬品とは?市販薬の分類と高齢者の注意点もあわせてご参照ください。
先発医薬品と同じ有効成分・同等の効果を持つとされる後発医薬品(ジェネリック医薬品)は、薬剤費の自己負担を抑える手段として広く普及しています。ただし、添加物の違いにより、まれに体感や副作用が異なる場合があるため、気になる点は医師・薬剤師にご相談ください。詳細はジェネリック医薬品とは?先発薬との違いと選び方をご覧ください。
「痛みが出たときだけ飲む」「発熱時に使う」など、症状が現れたときに服用する薬を頓服薬といいます。在宅療養中は症状の変化が急なこともあり、いつ・どのくらいの量を飲んでよいかを事前に医師・薬剤師から確認しておくことが重要です。頓服薬とは?飲み方・タイミング・注意点をやさしく解説をご参照ください。
厚生労働省の報告書(「高齢者の医薬品適正使用の指針」2018年)では、6種類以上の服用薬が有害事象のリスクを高めることが指摘されています。高齢者では腎機能・肝機能の低下により薬が体内に蓄積しやすく、転倒リスクや意識障害が生じる場合があります。お薬手帳を活用し、かかりつけ医・薬剤師と定期的に薬の見直し(処方レビュー)を行うことが推奨されます。
慢性呼吸不全・神経筋疾患・睡眠時無呼吸症候群などが進行した場合、自宅での人工呼吸器管理が必要になることがあります。機器の設定変更は医師・臨床工学技士が行い、ご家族は日常的な観察(アラーム対応・回路の清潔保持など)を担います。停電時や機器トラブル時の対応を事前に確認しておくことが重要です。
→ 詳細は在宅人工呼吸器とは?対象・管理・家族の注意点をご覧ください。
処方箋には薬品名・用量・用法・日数・医師の署名などが記載されています。有効期限(原則4日以内)を過ぎると調剤できないため、受け取ったらできるだけ早めに薬局へ持参しましょう。在宅患者では医師が薬局に処方箋を直接ファクスできる仕組み(処方箋の電送)も活用されています。
→ 詳細は処方箋の見方と有効期限|在宅患者の服薬の基礎をご覧ください。
大腸がんや膀胱がん、炎症性腸疾患などにより、腸や膀胱の一部を腹部に開口させた「出口(ストーマ)」を造設する手術が行われることがあります。ストーマには人工肛門(コロストミー・イレオストミー)と人工膀胱(ウロストミー)があり、それぞれ使用する装具や管理方法が異なります。在宅では専門の看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)や訪問看護師がサポートします。
→ ストーマの基本はストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは?在宅ケアの基本を、装具交換やトラブル対応は人工肛門(ストーマ)の在宅ケア|装具交換とトラブル対応をご覧ください。
糖尿病の治療で使用されるインスリン注射は、血糖値を下げる薬剤を皮下注射する方法です。ご本人が自己注射できなくなった場合、訪問看護師や医師が注射を行うことができます。低血糖(ふらつき・冷や汗・意識障害など)の早期発見と対処法を、あらかじめ医療職から説明を受けておくことが重要です。
→ 詳細は高齢者のインスリン注射|手技・低血糖・在宅管理をご覧ください。
消化管の機能が著しく低下し、口や胃ろうから十分な栄養を摂取できない場合、鎖骨下静脈や頸静脈などの中心静脈に細い管(カテーテル)を挿入し、高カロリーの栄養輸液を直接投与する方法が中心静脈栄養(IVH/TPN)です。感染予防(カテーテル関連血流感染症)が特に重要であり、輸液バッグの交換や接続部の清潔操作は訓練を受けた医療職が行います。
→ 詳細は中心静脈栄養(IVH/TPN)とは?在宅での管理と注意点をご覧ください。
排尿困難や尿閉が続く場合には尿道留置カテーテル(バルーンカテーテル)が用いられます。定期的な交換と感染予防が必要です。また、長期的な気道管理が必要な方では気管切開が選択されることがあります。吸引処置やカニューレ管理は、訪問看護師と連携しながら安全に行うことが大切です。詳細はバルーンカテーテル(尿道留置)とは?在宅管理の基本および気管切開とは?目的・在宅での管理・注意点をご参照ください。
訪問診療や在宅での医療処置にかかる費用は、医療保険(健康保険・後期高齢者医療制度)が適用されます。自己負担割合は年齢・収入により1〜3割です。介護保険の居宅療養管理指導(医師・薬剤師等の訪問指導)も利用できる場合があります。
| サービス | 主な保険適用 |
|---|---|
| 訪問診療・往診 | 医療保険 |
| 訪問看護(医療処置) | 医療保険または介護保険 |
| 居宅療養管理指導 | 介護保険 |
| 薬剤費(処方薬) | 医療保険 |
| 在宅人工呼吸器・ストーマ用品 | 医療保険・身体障害者手帳等 |
※費用は疾患・処置内容・地域により異なります。詳細はかかりつけ医またはケアマネジャーにご確認ください。
在宅療養を継続する中で、心肺停止時の蘇生処置(心臓マッサージ・AED等)をどうするかについて、ご本人・ご家族・医師で事前に話し合っておくことが大切です。「心肺蘇生をしない(DNAR)」という意思決定は、厚生労働省のACP(アドバンス・ケア・プランニング)ガイドラインに基づき、医師との十分な対話のうえで文書化されます。これは治療の放棄ではなく、ご本人の意思と尊厳を守るためのプロセスです。
メディカルクリニックあざみ野では、横浜市青葉区を中心とした地域で訪問診療を提供しています。在宅での医療処置・服薬管理において、以下のような対応が可能です(対応内容は状態・環境により異なります。詳しくはご相談ください)。
- 処方箋の発行・薬剤管理の指導
- インスリン注射の指示・手技確認
- ストーマ(人工肛門・人工膀胱)の管理指導・トラブル対応
- 中心静脈栄養(IVH/TPN)の在宅管理
- 在宅人工呼吸器・気管切開の管理
- バルーンカテーテル(尿道留置)の交換・管理
- 心肺停止時の方針(DNAR・ACP)に関する面談・文書化
- 訪問看護・ケアマネジャーとの多職種連携
「いまの状態で在宅医療を受けられるか」「どんな処置に対応してもらえるか」など、小さな疑問でもお気軽にご連絡ください。
在宅医療のご相談・お問い合わせ
TEL: 045-978-0455
はい、訪問診療では医師がご自宅でお薬手帳や薬剤情報提供書を確認しながら、服薬状況を把握し、必要に応じて処方内容の見直し(ポリファーマシー対策)を行うことができます。薬剤師による居宅療養管理指導と組み合わせることで、より丁寧な管理が可能になります。まずはご相談ください。
訪問看護師や医師が訪問時に注射を行うことができます。また、ご家族が手技を習得し、医師の指示のもとで行う方法も検討できます。いずれの場合も、低血糖のサイン(ふらつき・冷や汗・意識が遠くなる感覚など)を知っておくことが重要です。詳しくは高齢者のインスリン注射|手技・低血糖・在宅管理をご参照ください。
装具交換は、皮膚・排泄ケア認定看護師や訪問看護師が訪問して指導・実施することができます。最初は一緒に行いながら手順を覚えていただく形が一般的です。皮膚のただれ・出血・臭いの変化などのトラブル時はすぐに医療職に連絡してください。人工肛門(ストーマ)の在宅ケア|装具交換とトラブル対応も参考にしてください。
在宅療養中に心肺停止が起きた場合の対応は、事前に医師とよく話し合い、文書(DNAR指示書など)に残しておくことが重要です。方針が決まっていない場合は119番通報が原則ですが、訪問診療医がいる場合は医師に連絡することで適切な対応を受けられます。方針の決め方については担当医にご相談ください。
ジェネリック医薬品は先発医薬品と同じ有効成分・同等の効果が薬事審査で確認されていますが、添加物(色素・コーティング剤など)が異なる場合があります。まれに飲みやすさや体感に差を感じる方もいます。切り替えを検討される際は、医師や薬剤師にご相談のうえ判断されることをお勧めします。ジェネリック医薬品とは?先発薬との違いと選び方もご参照ください。
- 在宅人工呼吸器とは?対象・管理・家族の注意点
- 処方箋の見方と有効期限|在宅患者の服薬の基礎
- ストーマ(人工肛門・人工膀胱)とは?在宅ケアの基本
- 高齢者のインスリン注射|手技・低血糖・在宅管理
- 人工肛門(ストーマ)の在宅ケア|装具交換とトラブル対応
- 中心静脈栄養(IVH/TPN)とは?在宅での管理と注意点
- ジェネリック医薬品とは?先発薬との違いと選び方
- OTC医薬品とは?市販薬の分類と高齢者の注意点
- 頓服薬とは?飲み方・タイミング・注意点をやさしく解説
- バルーンカテーテル(尿道留置)とは?在宅管理の基本
- 気管切開とは?目的・在宅での管理・注意点
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
メディカルクリニックあざみ野では、在宅医療・訪問診療を通じて、高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全など、さまざまな疾患を抱える患者さまとそのご家族を支援しています。「在宅で治療を続けられるか」「薬や処置の管理に不安がある」など、気になることがあればどうぞお気軽にご相談ください。
在宅医療のご相談・お問い合わせ
TEL: 045-978-0455
ご相談の際は、以下の書類をご用意いただくとスムーズです。
- 薬剤情報提供書またはお薬手帳の写し
- 医療保険証・公費証明書・各種受給者証の写し
- 介護保険証・介護保険負担割合証の写し
- 限度額適用認定証等の写し
- 印鑑
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