高齢者の便秘|原因・解消法・受診の目安

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高齢者の排泄・失禁・便秘ケア ガイド

高齢者の便秘|原因・解消法・受診の目安

高齢者の便秘は、加齢に伴う身体機能の低下や薬の影響などが複合的に絡み合い、若い世代とは異なる注意が必要な状態です。適切なケアと早めの医療相談が、生活の質(QOL)の維持につながります。

本記事では、在宅医療・消化器外科を専門とする佐藤靖郎医師(医学博士)の監修のもと、高齢者の便秘の原因・症状・家庭での対応・受診の目安をわかりやすく解説します。

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高齢者の排泄・失禁・便秘ケア ガイド
の詳細解説記事です。

高齢者の便秘とは?

一般的に「便秘」とは、排便の回数が減少したり、排便に強くいきんだり、残便感が続いたりする状態を指します。日本消化器学会の慢性便秘症診療ガイドラインでは、「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されています。

高齢者の場合、65歳以上になると便秘の有訴者率が急増し、厚生労働省の国民生活基礎調査でも高齢女性だけでなく高齢男性にも多くみられることが確認されています。排泄は日常生活の基本であり、便秘が長引くと食欲低下・腹痛・認知機能への影響など、全身状態に波及するケースもあります。

主な症状・初期サイン

高齢者の便秘では、以下のような症状がみられます。

  • 排便の回数が週3回未満に減った
  • 排便時に強くいきむ必要がある
  • 便が硬くコロコロしている
  • 残便感・腹部の張り・不快感がある
  • 食欲が落ちてきた

見逃しやすいサイン

  • 食欲不振・元気がない
    便秘による腹部不快感が食欲低下として現れることがあります
  • 落ち着きなさ・興奮状態
    認知症のある方では便意を言葉でうまく伝えられず、行動の変化として現れることがあります
  • 尿トラブルとの混同
    便が直腸にたまると膀胱を圧迫し、頻尿や排尿困難につながることがあります。排泄に関連した他の症状も合わせて観察しましょう
  • 長期間「出た」と思っていたが実は溢流性下痢
    便が直腸に大量にたまった状態(糞便塞栓)で、液状の便だけが漏れ出す「溢流性便失禁」が起きることがあります。「下痢が続いている」と誤解されやすいサインです

原因・なりやすい人

高齢者の便秘には、複数の要因が重なることが多いとされています。

要因 具体例
身体機能の低下 腸の蠕動(ぜんどう)運動の低下、腹筋・骨盤底筋の筋力低下
水分・食事の問題 食事量の減少、水分摂取不足、食物繊維の不足
運動量の低下 寝たきり・車いす生活、廃用性の筋力低下
薬の副作用 鎮痛薬(オピオイド系)、抗コリン薬、鉄剤、制酸薬(アルミニウム含有)など
疾患の影響 糖尿病性神経障害、パーキンソン病、甲状腺機能低下症、大腸がんなど
排泄環境・心理的要因 トイレへの移動困難、プライバシーへの遠慮、抑うつ

特に複数の薬を服用している高齢者や、活動量が著しく低下している方は便秘になりやすい傾向があります。

家庭でできる対応・観察のポイント

以下は日常的に取り組める対応ですが、いずれも医師・薬剤師・ケアマネジャーへの相談を前提にご活用ください。

水分補給

1日の水分目標量は個人差がありますが、食事以外に1,000〜1,500ml程度を目安に、少量ずつこまめに補給することが大切です。心不全・腎疾患がある場合は必ず主治医に適切な水分量を確認してください。

食物繊維の確保

野菜・豆類・海藻・果物など食物繊維を含む食品を取り入れることが推奨されています。ただし咀嚼(そしゃく)・嚥下(えんげ)機能が低下している場合は形態を工夫しましょう。

体を動かす工夫

ベッドサイドでの足首の屈伸・腹部マッサージ(おへその周りを時計回りに優しくなでる)なども腸の動きを助ける可能性があります。

排便記録の活用

排便の日時・便の硬さ・量・いきみの程度を簡単なメモで記録しておくと、医師や訪問看護師への情報提供がスムーズになります。

市販薬の使用について

市販の便秘薬を使用する場合は、薬剤師に相談したうえで選ぶことをお勧めします。医師が推奨する便秘薬(便秘に効く薬)には、酸化マグネシウム製剤(浸透圧性下剤)やルビプロストン、リナクロチドなど複数の種類があり、症状・原因・他の薬との相互作用によって適切なものが異なります。自己判断での連用は避け、定期的に服用している方は主治医に処方の見直しを相談してください。

受診・相談の目安(危険なサイン)

以下のような状態がみられる場合は、なるべく早めに医師または訪問看護師に相談してください。不安を過度に高める必要はありませんが、見過ごすと重篤な状態につながる可能性があるサインです。

  • 1週間以上排便がない
  • 腹部の強い痛みや硬い膨満感がある
  • 血便・黒色便(タール便)がみられる
  • 嘔吐・嘔気を伴っている
  • 発熱が続いている
  • 急激な体重減少や食欲不振が数週間以上続く
  • 今まで順調だったのに突然便秘になった

これらは腸閉塞・大腸がん・腹膜炎など、便秘以外の疾患が隠れているサインである可能性があります。「様子を見ていれば治る」と判断せず、早めの受診・相談を検討してください。

訪問診療を利用されている方、または検討中の方は、
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からもご連絡いただけます。

関連キーワード補足

医者がすすめる便秘薬・便秘に効く薬

医師が処方する便秘薬には大きく「刺激性下剤(センナ、ビサコジルなど)」「浸透圧性下剤(酸化マグネシウム、ラクツロースなど)」「上皮機能変容薬(ルビプロストン、リナクロチドなど)」があります。高齢者では腎機能に応じた用量調整が必要なケースもあり、自己判断での服用継続は避け、定期的に主治医に相談することが重要です。

高齢者の便失禁と健康への影響

便失禁(便が意図せず漏れる状態)は便秘と密接に関連しており、前述の溢流性便失禁もその一例です。便失禁が続くと皮膚トラブルや感染症リスクが高まるほか、外出や社会参加への意欲低下にもつながります。「高齢者 便失禁 寿命」と検索される方も多いですが、便失禁自体が直接的に寿命を左右するというよりも、基礎疾患の管理や生活の質の維持が全体的な健康に影響するとされています。気になる症状は早めに医師へ相談することをお勧めします。

導尿との関係

便秘による直腸の過度な充満(糞便塞栓)は、膀胱を圧迫して尿閉(尿が出なくなる状態)を引き起こすことがあります。この場合、
導尿(カテーテルで尿を排出する処置)
が必要になるケースもあります。排泄全体を包括的に管理することが大切です。

あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)

メディカルクリニックあざみ野では、消化器外科・在宅医療を専門とする佐藤靖郎医師が、通院が困難な高齢者の方のご自宅や施設へ訪問し、便秘を含む排泄ケア・薬の調整・全身管理を行っています。

「便秘が続いているが通院が難しい」「薬の種類が多くて管理が心配」「訪問診療でどこまで対応してもらえるか知りたい」など、どのようなご相談でもお気軽にお問い合わせください。

👉 在宅医療のご相談・お問い合わせ

📞 TEL:045-978-0455

よくある質問(FAQ)

Q1. 毎日排便がなければ便秘ですか?

A. 排便の頻度は個人差があり、「毎日でなければ便秘」とは限りません。週3回以上の排便があっても、排便時の強いいきみや残便感・腹部の不快感が続く場合は便秘に該当することがあります。日数だけでなく、排便の質や全身状態も合わせて観察してください。

Q2. 高齢の親が水をあまり飲みたがりません。どうすればよいですか?

A. 高齢者は口渇感(のどの渇きを感じる機能)が低下していることが多く、意識して水分を摂る工夫が必要です。食事の汁物・お茶・経口補水液などを少量ずつこまめに提供するとよいでしょう。心臓や腎臓に疾患がある場合は水分量の上限があるため、必ず主治医にご確認ください。

Q3. 便秘薬を長期間使い続けても大丈夫ですか?

A. 薬の種類や用量によって異なります。刺激性下剤(センナ・ビサコジルなど)を長期間・大量に使用すると、腸の動きが薬に頼る状態になる可能性があります。一方、浸透圧性下剤や上皮機能変容薬は比較的長期使用に適しているとされます。いずれも自己判断での増量・継続は避け、定期的に主治医と見直すことをお勧めします。

Q4. 認知症の親が便秘かどうかわかりません。確認方法はありますか?

A. 認知症のある方は便意や腹部の不快感をうまく言語化できないことがあります。毎日の排便記録(日時・量・形状)をつけること、腹部の張りや硬さを観察すること、食欲や機嫌の変化に注意することが有効です。訪問看護師やケアマネジャーと連携し、チームで観察する体制を整えましょう。

Q5. 感情失禁と便秘は関係がありますか?

A. 感情失禁とは、脳血管疾患などにより感情のコントロールが難しくなる状態で、便秘との直接的な因果関係はありません。ただし、脳血管疾患のある方はパーキンソン症状や自律神経障害を伴うことがあり、腸の動きが低下して便秘になりやすいケースもあります。複合的な症状がある場合は、主治医にご相談ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)

医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長

専門:消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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