在宅酸素療法(HOT)とは?対象疾患・費用・生活の注意点

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在宅酸素療法(HOT)とは?対象疾患・費用・生活の注意点

在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOT)は、慢性的な呼吸不全を抱える方が、自宅や施設など「生活の場」で酸素を吸入し続ける医療です。入院ではなく日常生活を送りながら治療を継続できるため、患者さんご本人の生活の質(QOL)を保ちながら病状を管理できる点が大きな特徴です。

本記事では、在宅酸素療法の仕組みや対象疾患、費用の目安から申請手続き、日常生活の注意点まで、介護をされるご家族やケアマネジャーの方々が知っておきたい情報を、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。なお、導入の可否や具体的な治療方針については、必ず医師の診察・判断が必要です。

本記事は医学的知見に基づく情報提供を目的としており、個別の診断・治療方針については必ず担当医師や医療・介護専門職にご相談ください。

在宅酸素療法とは?

在宅酸素療法とは、自宅に酸素濃縮装置や液体酸素装置を設置し、医師が処方した流量・時間で酸素を吸入する医療的ケアです。厚生労働省の保険適用基準では、動脈血酸素分圧(PaO₂)が55mmHg以下、または60mmHg以下で睡眠時・運動時に低酸素血症が認められる場合が対象とされています。

主な対象疾患

  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD):喫煙などによる肺の慢性炎症で最も多い適応疾患
  • 間質性肺炎・肺線維症:肺組織が線維化し、酸素交換能が低下する疾患
  • 肺がん・がん性胸膜炎:呼吸困難を伴う進行例
  • 心不全(重症例):呼吸不全を合併するケース
  • チアノーゼ型先天性心疾患など

使用する機器の種類

機器の種類 特徴
酸素濃縮装置 電気で空気中の酸素を濃縮。据え置き型が主流で、家庭での安定供給に適する
携帯用酸素ボンベ 外出時に使用。重さに注意が必要
液体酸素装置 液体酸素を気化して供給。電気不要だが取り扱いに注意が必要

訪問診療では定期的に酸素飽和度(SpO₂)を測定し、流量の調整が行われます。また、訪問看護のスタッフが定期訪問し、機器の確認や呼吸状態の観察を担うことも多くあります。

費用の内訳と相場

在宅酸素療法は、医師が処方することで健康保険が適用されます。機器は業者からレンタルする形態が一般的で、患者さんが機器を購入する必要は原則ありません。

初期費用/月額の目安

医療保険での負担(健康保険適用部分)

在宅酸素療法指導管理料や酸素濃縮装置加算などが算定されます(2024年度時点)。

区分 1割負担の場合 3割負担の場合
月額の保険診療費(目安) 約3,000〜4,500円 約9,000〜13,500円

※上記はあくまで目安です。加算内容や算定月によって異なります。実際の費用は担当医療機関・業者にご確認ください。

電気代

酸素濃縮装置を24時間稼働させた場合、月額2,000〜5,000円程度の電気代がかかることがあります。機種や使用時間によって差があります。

費用を抑える制度・軽減措置

在宅酸素療法にかかる医療費は、以下の公的制度を活用することで自己負担を軽減できる場合があります。

  • 高額療養費制度:1か月の医療費自己負担が上限額を超えた場合、超過分が払い戻される制度(厚生労働省)
  • 限度額適用認定証:事前に申請しておくことで、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられる
  • 身体障害者手帳(呼吸機能障害):一定の等級に該当する場合、医療費助成や税の軽減措置が受けられる可能性がある
  • 難病医療費助成制度:間質性肺炎など指定難病に該当する場合は対象になることがある
  • 介護保険の居宅サービス居宅療養管理指導を活用することで、自宅で医師や薬剤師から療養上の管理・指導を受けながら療養を継続できる

各制度の詳細や申請方法は、担当医療機関のソーシャルワーカーやケアマネジャーにご相談ください。

費用シミュレーション例

【例】70歳・COPD・健康保険1割負担・介護保険要介護2の場合(目安)

項目 月額目安(自己負担)
在宅酸素療法の保険診療費(1割) 約3,000〜4,500円
訪問診療費(1割) 約3,000〜6,000円
訪問看護費(医療保険適用の場合) 約1,000〜3,000円
電気代(酸素濃縮装置) 約2,000〜5,000円
合計(目安) 約9,000〜18,500円前後

※上記はあくまで概算モデルです。負担割合・加算内容・訪問回数によって大きく異なります。必ず医療機関や介護事業者に個別見積もりをご確認ください。

申請・利用開始までの流れ

在宅酸素療法の導入は、主治医による診断と処方が起点となります。

  1. 主治医による診断・適応判断:血液検査(血液ガス分析)や肺機能検査の結果をもとに医師が判断します
  2. 在宅酸素療法指導管理の処方:医師が必要流量・使用時間を指示します
  3. 酸素供給業者との契約・機器設置:病院または在宅医が業者を紹介し、自宅への機器設置が行われます
  4. 患者・家族への指導:機器の操作方法、緊急時の対応、火気厳禁などの生活上の注意点を説明します
  5. 定期的な管理・評価:訪問診療医や訪問看護スタッフが定期的に状態を確認します

ケアマネジャーは、利用者の在宅酸素療法の導入に合わせてケアプランを見直し、訪問介護との連携体制を整えることも重要です。

関連サービスとの連携:訪問看護・訪問介護・居宅療養管理指導

在宅酸素療法は、単独ではなく複数の在宅サービスと組み合わせて活用することが一般的です。

在宅医療全体の仕組みについては、訪問診療・在宅医療 完全ガイド|あざみ野の在宅医療もあわせてご参照ください。

あざみ野の訪問診療による在宅酸素療法サポート

メディカルクリニックあざみ野では、COPD・間質性肺炎・心不全・がんの緩和ケアなど、呼吸不全を伴う様々な疾患に対する訪問診療を行っています。在宅酸素療法の導入・管理から、酸素供給業者や訪問看護ステーションとの連携まで、ご自宅での療養を総合的にサポートいたします。

「在宅酸素療法を検討しているが何から始めればよいかわからない」「今の状態で自宅での療養継続が可能かどうか知りたい」といったご相談も歓迎しております。まずはお気軽に在宅医療のご相談・お問い合わせよりご連絡ください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 在宅酸素療法を始めると、外出はできなくなりますか?

A. 携帯用酸素ボンベを使用することで、外出や通院も可能です。外出時の流量や時間については主治医の指示に従ってください。外出先での酸素ボンベの予備本数や補充方法については、導入時に業者から説明を受けることができます。

Q2. 家族が誤って酸素の流量を変えてしまっても大丈夫ですか?

A. 酸素流量は医師が処方した量を守ることが重要です。自己判断での増減は症状の悪化につながる可能性があります。流量変更が必要と感じた際は、必ず主治医または訪問看護師にご相談ください。

Q3. 在宅酸素療法中に火を使った調理はできますか?

A. 酸素は燃焼を助ける性質(支燃性)があるため、使用中はガスコンロ・タバコ・ライターなど火気の近くでの使用は避けてください。調理時の注意点については、機器導入時の指導内容をよく確認し、ご家族とも共有することをお勧めします。

Q4. 停電になったときはどうすればよいですか?

A. 酸素濃縮装置は電気を使用するため、停電時には使用できなくなります。緊急用の酸素ボンベを常備しておくことが推奨されます。また、かかりつけの訪問診療医や業者の緊急連絡先を手元に置いておくと安心です。

Q5. 在宅酸素療法の対象になるかどうか、どうやって判断されますか?

A. 血液ガス分析(動脈血の酸素・二酸化炭素濃度を測る検査)や肺機能検査の結果をもとに、医師が保険適用基準に照らし合わせて判断します。自己判断での導入はできませんので、呼吸困難や息切れが気になる場合はまず医師にご相談ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門:消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全

略歴

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割

厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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TEL:045-978-0455

ご相談の際は、以下の書類をご用意いただくとスムーズです。

  • 薬剤情報提供書またはお薬手帳の写し
  • 医療保険証・公費証明書・各種受給者証の写し
  • 介護保険証・介護保険負担割合証の写し
  • 限度額適用認定証等の写し
  • 印鑑