廃用症候群とは?原因・症状・在宅でできる予防

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廃用症候群とは?原因・症状・在宅でできる予防

長期間にわたって体を動かさない状態が続くと、筋力低下・関節拘縮・認知機能の低下など全身に悪影響が及ぶ「廃用症候群」が起こります。高齢者では入院や療養中の安静をきっかけに短期間で進行しやすく、ADL(日常生活動作)の大幅な低下につながることがあります。本記事では廃用症候群の定義・原因・症状・家庭でできる対応について、医学的根拠に基づいてわかりやすく解説します。なお、個々の症状への対応や治療については、必ず医師の診察を受けたうえでご判断ください。

廃用症候群とは?

廃用症候群(はいようしょうこうぐん)とは、過度な安静や身体活動の低下によって生じる、身体的・精神的機能の全般的な低下状態を指します。「生活不活発病」とも呼ばれ、厚生労働省や日本リハビリテーション医学会でもその予防の重要性が示されています。

特定の病気そのものではなく、「動かないことで起こる二次的な障害の集合体」と理解するとわかりやすいでしょう。骨折・脳卒中・肺炎などで入院し長期安静となった後に発症するケースが典型的ですが、在宅での療養中や介護が必要な状態になってからも進行します。

📌 詳しいリハビリの全体像については、親ピラーページ 高齢者のリハビリ・機能訓練 ガイド もあわせてご覧ください。

主な症状・初期サイン

廃用症候群は全身にわたって症状が現れるのが特徴です。代表的なものを以下に整理します。

分類 主な症状
運動器系 筋力低下、筋萎縮、関節拘縮、骨粗しょう症の進行
循環器系 起立性低血圧(立ちくらみ)、深部静脈血栓症
呼吸器系 呼吸筋の低下、誤嚥性肺炎のリスク増加
消化器系 食欲低下、便秘
精神・認知 意欲低下、うつ状態、認知機能の低下
皮膚 褥瘡(床ずれ)の発生

これらが複合的に起こることで、ADL(日常生活動作)が段階的に低下していきます。ADLについては ADL(日常生活動作)とは?評価・IADLとの違い で詳しく解説しています。

見逃しやすいサイン

初期には「なんとなく元気がない」「歩くのが遅くなった」といった変化が見られます。以下のようなサインは廃用症候群の早期兆候として注意が必要です。

  • 以前できていた動作(階段の昇降・入浴など)が急にできなくなった
  • 日中もほとんどベッドやソファで過ごすようになった
  • 食事量が減り、体重が落ちてきた
  • 話しかけても反応が鈍くなった、会話が少なくなった
  • 立ち上がりや歩き始めにふらつきが目立つようになった

「年齢のせいだから仕方ない」と見過ごされがちですが、こうした変化は廃用症候群の入口である可能性があります。早期に気づき、適切な対応をとることが重要です。

原因・なりやすい人

廃用症候群の直接的な原因は「身体活動量の低下」です。ただし、それを引き起こす背景は多岐にわたります。

主な発症のきっかけ

  • 骨折・手術後の安静指示
  • 脳卒中・心疾患・肺炎などによる入院
  • 慢性疼痛(腰痛・関節痛など)による活動制限
  • 転倒に対する過度な恐怖(「また転ぶのが怖い」)
  • 介護過多による過剰な介助(できることまで手伝いすぎる)

なりやすい人の特徴

  • 75歳以上の高齢者(予備能力が低下しているため)
  • もともと活動量が少ない、外出機会が少ない方
  • 認知症や抑うつ傾向がある方
  • 栄養状態が悪い方(低栄養)

研究では、完全な床上安静が続くと1週間で筋力は約10〜15%低下するとも報告されており、高齢者では回復にさらに時間がかかります。「少しの安静がそれほど影響するのか」と感じるかもしれませんが、高齢者においては短期間でも大きな機能低下につながることが知られています。

家庭でできる対応・観察のポイント

廃用症候群の予防・進行抑制において最も重要なのは、「適度に体を動かし続けること」です。在宅でできる取り組みを以下に紹介します。

① 生活の中に”動く機会”を意識的に取り入れる

  • 食事は椅子に座って食べる、トイレは自分で行くなど、できることは本人にやってもらう
  • 1日数回、廊下や居室内を歩く習慣をつける
  • 歩行が不安定な場合は歩行器などの福祉用具を活用し、安全に歩く機会を確保する

② 座位・立位を取り入れる

  • 長時間の臥床(寝たきり)を避け、日中は可能な範囲で座る時間を設ける
  • 起立性低血圧のある方は、急に立ち上がらず、段階的に姿勢を変える

③ 会話・刺激を大切にする

  • 家族との会話、趣味活動、テレビや音楽など、精神的な活性化も廃用予防につながります

④ 栄養管理

  • タンパク質を含む食事を意識的にとることで、筋肉の維持を支えることが期待されます(ただし、疾患によって食事制限がある場合は医師・管理栄養士の指示に従ってください)

⑤ 観察のポイント

  • 「先週と比べて歩行距離が短くなっていないか」「日中の覚醒時間はどうか」など、週単位での変化に目を向けましょう

受診・相談の目安(危険なサイン)

以下のような変化が見られる場合は、早めに主治医やかかりつけ医、ケアマネジャーへ相談することをお勧めします。過度に不安を感じる必要はありませんが、適切なタイミングでの相談が、その後の回復に大きく関わります。

  • 2〜4週間以内に歩行能力や食事動作が明らかに低下した
  • 発熱・むくみ・息切れなど、新たな身体症状が加わった
  • 意識がぼんやりしている時間が増えた、会話が成り立ちにくくなった
  • 一人での移動が急に難しくなり、転倒リスクが高まっている
  • 食事量が著しく減り、体重減少が続いている

在宅療養中でかかりつけ医への受診が難しい場合は、訪問診療・在宅医療の活用もご検討ください。在宅医療のご相談・お問い合わせ からお気軽にご連絡いただけます。

関連キーワード補足

廃用症候群とは

「使わないことで機能が衰える状態」の総称。生活不活発病とも呼ばれます。

廃用症候群 症状

筋力低下・関節拘縮・意欲低下・認知機能低下・褥瘡など、全身に多様な症状が現れます。

廃用症候群 リハビリ

理学療法士・作業療法士による機能訓練が有効とされています。在宅では訪問リハビリテーションの活用が可能です。医師の指示のもとで適切なプログラムを組むことが大切です。

ADL(日常生活動作)とは

食事・更衣・移動・排泄・入浴など、日常生活を送るうえで基本となる動作のこと。廃用症候群が進行するとADLは段階的に低下します。詳しくは ADL(日常生活動作)とは?評価・IADLとの違い をご参照ください。

あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)

メディカルクリニックあざみ野では、在宅療養中の高齢者を対象とした訪問診療を行っています。廃用症候群の予防・早期対応においては、定期的な医師の評価と多職種連携(ケアマネジャー・リハビリ専門職・訪問看護師など)が大きな役割を果たします。

「最近、親が動かなくなってきた気がする」「訪問リハビリと組み合わせた医療サポートを受けたい」といったご相談も歓迎しています。外来通院が難しい状況でも、訪問診療を通じて継続的な医療管理をご提供できます。

ご相談は 在宅医療のご相談・お問い合わせ または TEL 045-978-0455 までお気軽にどうぞ。

よくある質問(FAQ)

Q1. 廃用症候群は治りますか?
A. 早期に発見してリハビリテーションや活動量の回復に取り組めば、機能が改善する可能性があります。ただし、高齢者では回復に時間がかかる場合もあり、予防が最も重要です。個々の状態によって見通しは異なるため、担当医にご相談ください。

Q2. 何日間安静にしていると廃用症候群になりますか?
A. 明確な「〇日で発症する」という基準はありませんが、研究では1週間の完全安静で筋力が約10〜15%低下するとされています。高齢者では回復力が低いため、数日単位でも注意が必要です。

Q3. 介護中に「できることは本人にやらせる」のは本当に大切ですか?
A. はい、過剰な介助は廃用症候群を進行させるリスクがあります。安全を確保しながら、本人ができる動作は自分で行ってもらうことが機能維持につながります。ケアマネジャーや理学療法士に相談しながら、適切なサポートの範囲を検討しましょう。

Q4. 在宅での廃用症候群予防に歩行器は有効ですか?
A. 歩行器は転倒リスクを軽減しながら歩く機会を確保するために有用な福祉用具のひとつです。種類や選び方については 歩行器の種類と選び方|杖との違い・介護保険の対象 をご参照ください。なお、使用の可否・適切な種類は医師や理学療法士が判断します。

Q5. ケアマネジャーとして廃用症候群のリスクをどう見極めればよいですか?
A. 前月と比べた歩行速度・外出頻度・食事量・会話の量などの変化を定期的にモニタリングすることが有用です。変化に気づいた場合は早期に担当医や訪問リハビリ担当者と情報共有し、サービス内容の見直しを検討することをお勧めします。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全

略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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