認知症介護基礎研修とは?対象・受講方法・義務化をわかりやすく解説
認知症介護基礎研修とは、介護現場で働く職員が認知症ケアの基礎知識を習得するための研修制度です。2021年度の介護報酬改定により、無資格の介護職員に対する受講が義務化され、現在は多くの介護サービス事業所で受講対応が求められています。本記事では、研修の概要・対象者・受講手順・注意点を、介護をする家族やケアマネジャーの方に向けてわかりやすく解説します。
認知症に関するより幅広い基礎知識については、認知症の基礎・症状・対応 完全ガイドもあわせてご覧ください。
認知症介護基礎研修とは?
認知症介護基礎研修は、厚生労働省の指針に基づき都道府県が実施する公的な研修制度です。認知症の方への適切なケアの知識・態度を習得することを目的としており、主にeラーニング(オンライン学習)で受講できます。
研修の内容は、認知症の基礎知識(原因・症状・進行)、認知症の方への接し方、家族支援の考え方などが含まれます。受講時間はおおむね約150分(学習内容により前後)とコンパクトにまとめられており、働きながら学びやすい設計になっています。
2021年度の介護報酬改定において、介護サービス事業所で働く無資格の介護職員(介護福祉士・実務者研修修了者等の資格を持たない職員)は、原則として本研修の受講が義務化されました(経過措置期間あり)。これにより、事業所単位での対応が急速に広まっています。
対象となる人・条件
受講が義務化される主な対象者
- 介護保険サービスを提供する事業所に勤務する無資格の介護職員
- 介護福祉士・実務者研修・介護職員初任者研修などの資格を持たない職員
受講が免除・不要とされる場合
以下の資格・研修を修了している方は、本研修の受講が免除されます。
- 介護福祉士
- 介護職員実務者研修 修了者
- 介護職員初任者研修 修了者
- 認知症介護実践者研修 修了者 など
対象事業所
訪問介護・通所介護(デイサービス)・特別養護老人ホーム・グループホームなど、介護保険サービスを提供する幅広い事業所が対象となります。詳細な対象範囲は、都道府県・市区町村の担当窓口にご確認ください。
手順・やり方(ステップ解説)
認知症介護基礎研修は、主に「認知症介護基礎研修 eラーニング」として受講します。以下のステップで進めるのが一般的です。
ステップ1:所属事業所への確認
まず、勤務する事業所の管理者・運営担当者に受講の要否・スケジュールを確認します。事業所によっては受講案内や申込み手続きを一括で行っている場合があります。
ステップ2:都道府県・実施機関への申込み
研修はeラーニングシステム(「認知症介護基礎研修eラーニング」公式サイト)から申し込みます。申込みは原則として個人またはグループ(事業所単位)で行います。都道府県によって実施機関が異なるため、居住・勤務する地域の案内をご確認ください。
ステップ3:オンライン受講
PCやタブレット、スマートフォンからeラーニングシステムにアクセスし、動画講義・テキストを受講します。自分のペースで学習を進められるため、隙間時間の活用も可能です。
ステップ4:修了確認テスト
受講後に確認テストを行います。合格することで修了となり、修了証が発行されます。
ステップ5:修了証の保管・事業所への提出
発行された修了証は、事業所への提出や将来的なキャリアアップのために大切に保管してください。
必要な書類・準備
- 勤務先(事業所)の情報(名称・所在地など)
- メールアドレス(アカウント登録に使用)
- インターネット接続環境(PC・スマートフォン等)
- 都道府県によっては本人確認書類の提示が必要な場合もあります
注意点・よくある失敗
1. 受講期限・経過措置の見落とし
義務化の経過措置期間があるため「まだ大丈夫」と先送りにしがちですが、事業所単位での管理が求められます。早めの受講計画を立てましょう。
2. 修了証の管理を怠る
eラーニングの修了証はPDFで発行されるケースが多く、印刷・保存を忘れると再発行に手間がかかることがあります。
3. 免除対象の誤認
「介護職員初任者研修を受けたから対象外」と思っていても、実際には対象となるケースもあります。不明な点は事業所または都道府県窓口に確認してください。
4. 認知症の種類を混同したまま受講する
研修ではアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など複数の疾患が登場します。事前に各疾患の基礎を把握しておくと理解がスムーズです。
困ったときの相談先
| 相談内容 | 相談先 |
|---|---|
| 申込み方法・受講環境のトラブル | 都道府県の認知症介護研修実施機関 |
| 事業所での受講管理・義務化対応 | 市区町村介護保険担当課・地域包括支援センター |
| 認知症の症状・医療的ケアに関する相談 | かかりつけ医・在宅医療・訪問診療医 |
| 介護全般の相談 | 地域包括支援センター・ケアマネジャー |
在宅での医療・介護に関するご相談は、在宅医療のご相談・お問い合わせからもお気軽にどうぞ。
関連キーワード補足
認知症介護基礎研修 eラーニングとは
eラーニングとは、インターネットを通じてオンラインで学習するシステムです。認知症介護基礎研修はこのeラーニング形式で提供されており、場所や時間を選ばずに受講できる点が特長です。動画・テキスト・確認テストがセットになっており、約150分程度で修了できる設計です。
認知症とは
認知症とは、脳の神経細胞が障害されることで記憶・判断・言語などの認知機能が低下し、日常生活に支障をきたす状態の総称です。加齢に伴うもの忘れとは異なり、医師による診察・診断が必要です。詳しくは認知症とは?種類・症状・進行・対応の基礎知識をご覧ください。
せん妄とは
せん妄とは、身体的な原因(発熱・脱水・薬剤など)によって引き起こされる急性の意識混濁・混乱状態です。認知症と症状が似ているため混同されやすいですが、原因・経過・対応が異なります。詳しくはせん妄とは?認知症との違い・原因・対応法を解説をご覧ください。
レビー小体型認知症とは
レビー小体型認知症は、脳内に「レビー小体」と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積することで発症する認知症の一種です。幻視(実際にないものが見える)やパーキンソン症状(小刻み歩行・手のふるえ)を伴うことが特徴です。アルツハイマー型認知症との違いについてはレビー小体型認知症とは?症状・特徴・アルツハイマーとの違いで解説しています。
あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)
メディカルクリニックあざみ野では、認知症をはじめとする高齢者医療・在宅医療に対応した訪問診療を行っています。「認知症の診断を受けたが、在宅でどのように療養すればよいかわからない」「介護している家族の症状が最近変わってきた」といったご相談にも、医師・スタッフが丁寧に対応いたします。
受診・診断・治療の判断はかかりつけ医や専門医との連携のもとで行われますので、まずはお気軽にご連絡ください。
在宅医療のご相談・お問い合わせ
TEL:045-978-0455
よくある質問(FAQ)
Q1. 認知症介護基礎研修は、家族介護者でも受講できますか?
A. 本研修は主に介護保険サービス事業所に勤務する職員を対象としています。ご家族による受講は制度上の対象外となる場合が多いですが、都道府県によっては家族向けの認知症講座等が別途用意されていることがあります。お住まいの地域包括支援センターにご相談ください。
Q2. eラーニングはスマートフォンでも受講できますか?
A. 原則としてスマートフォンやタブレットからも受講可能なシステムになっています。ただし、動作環境は実施機関のシステムによって異なるため、受講前に推奨環境をご確認ください。
Q3. 研修を受講しないと、事業所はどうなりますか?
A. 義務化に未対応の場合、介護報酬の減算等の影響が生じる可能性があります。具体的なペナルティの内容や経過措置の詳細は、都道府県・市区町村の担当窓口にご確認ください。
Q4. 研修の修了証に有効期限はありますか?
A. 現時点(2024年時点)では、認知症介護基礎研修の修了証に明示的な有効期限は設けられていません。ただし、制度改正により変更となる場合があるため、最新情報は厚生労働省や都道府県の案内をご確認ください。
Q5. ケアマネジャーも受講が必要ですか?
A. ケアマネジャー(介護支援専門員)は受験資格の要件上、介護・医療関連の資格を有していることが多く、免除対象となるケースが一般的です。ただし、事業所の種別や個人の保有資格によって異なるため、勤務先または都道府県窓口にご確認ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 理事長
専門:消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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