「最近、物忘れが増えてきた」「同じことを何度も聞くようになった」——そのような変化に気づいたとき、最初に頼りになるのが認知症の検査です。認知症の検査は、日常的な認知機能を客観的に評価し、早期に適切な医療につなげるための重要なステップです。本記事では、代表的な検査の種類・流れ・受診の目安を、介護をするご家族やケアマネジャーの方に向けてわかりやすく解説します。
本記事は情報提供を目的としています。診断・治療の判断は必ず医師の診察に基づいて行ってください。
認知症検査とは?
認知症検査とは、記憶・見当識(日時や場所の認識)・言語・注意力などの認知機能を評価し、認知症の有無や重症度の目安を把握するための一連の評価プロセスを指します。
認知症は、アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症など複数の疾患を包括した概念です(詳しくは認知症とは?種類・症状・進行・対応の基礎知識をご参照ください)。検査は「認知症かどうかを確定診断する」ものではなく、専門医がさらなる精査を行うための出発点として位置づけられています。
厚生労働省および日本神経学会の認知症疾患診療ガイドラインでも、問診・神経心理検査・画像検査を組み合わせた多角的な評価が推奨されています。
対象となる人・受診の目安
以下のような変化が繰り返し見られる場合、かかりつけ医や認知症専門医への相談を検討してください。
なお、急激に(数時間〜数日以内に)意識が変動したり、注意力が激しく乱れたりする場合は、せん妄の可能性があります。せん妄は認知症と混同されやすいですが、原因・対応が異なります。詳しくはせん妄とは?認知症との違い・原因・対応法を解説をご覧ください。
検査の手順・やり方(ステップ解説)
ステップ1:かかりつけ医・地域包括支援センターへの相談
まず、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談し、専門医(神経内科・精神科・老年科など)への紹介を受けるのが一般的な流れです。在宅療養中の方は、訪問診療医に相談することも可能です。
ステップ2:問診・生活歴の聴取
医師が本人・家族から「いつ頃から」「どのような変化があったか」を確認します。ご家族が具体的なエピソードをメモしておくと診察がスムーズに進みます。
ステップ3:神経心理検査(認知機能スクリーニング)
代表的な検査は以下のとおりです。
■ 長谷川式認知症スケール(HDS-R)
国内で広く使用されるスクリーニング検査です。年齢・日時・場所の見当識、単語の記憶、計算など9項目・30点満点で評価します。一般に20点以下で認知症の疑いが強いとされます(カットオフ値はあくまでスクリーニング目安)。所要時間は10〜15分程度です。
■ MMSE(Mini Mental State Examination)
国際的に使用される標準的な認知機能検査です。30点満点で評価し、23点以下が認知症の疑いとされるケースが多いですが、教育歴や年齢を考慮した解釈が必要です。
■ MoCA(Montreal Cognitive Assessment)
軽度認知機能障害(MCI)の検出に感度が高い検査です。記憶・視空間認知・注意・言語など多領域を評価します。
ステップ4:身体診察・血液検査
甲状腺機能低下症やビタミン欠乏など、治療可能な原因による認知機能低下を除外するために実施します。
ステップ5:画像検査
必要に応じてMRI・CTが実施されます。海馬の萎縮パターン、脳血流の低下、脳血管病変などを確認します。レビー小体型認知症が疑われる場合はDAT(ドパミントランスポーター)シンチグラフィが追加されることもあります。
受診前の準備
注意点・よくある失敗
- 「検査さえすれば診断がつく」と思い込まない:スクリーニング検査の点数だけで診断は確定しません。総合的な医師の判断が不可欠です。
- 緊張・体調不良が結果に影響する:検査当日の体調や環境による変動があります。必要に応じて再検査が行われます。
- 家族が本人の代わりに回答しない:神経心理検査はあくまで本人の能力を測るものです。横から答えを教えないよう配慮してください。
- 受診を先延ばしにしない:早期に適切な治療・ケアを開始することが、本人とご家族のQOL維持につながります。
困ったときの相談先
関連キーワード補足
認知症検査 長谷川式
長谷川式認知症スケール(HDS-R)は1974年に長谷川和夫医師が開発し、その後改訂されたスクリーニングツールです。日本の医療・介護現場で最も普及しており、ケアマネジャーや訪問看護師も評価場面に立ち会うことがあります。
認知症
認知症は単一の病気ではなく、脳の器質的変化により認知機能が低下し、生活に支障をきたす状態の総称です。詳細は認知症の基礎・症状・対応 完全ガイドをご参照ください。
せん妄とは
せん妄は急性の意識・注意障害であり、感染症、薬剤、手術後などを契機に発症します。認知症と外見が似ているため誤認されやすいですが、対応方法が異なります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、幻視・パーキンソン症状・認知機能の日内変動が特徴的な認知症です。DAT検査やMIBG心筋シンチグラフィが診断補助に用いられます。
あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)
「病院への通院が難しい」「自宅で認知機能を確認してほしい」——そのようなご要望には、在宅での訪問診療による対応が可能な場合があります。メディカルクリニックあざみ野では、在宅医療・高齢者医療を専門とする医師が自宅を訪問し、認知機能のスクリーニングや療養計画の相談に対応しています。
外来受診が困難なご高齢の方、認知症が疑われる方のご家族・ケアマネジャーの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
👉 在宅医療のご相談・お問い合わせ または TEL: 045-978-0455
よくある質問(FAQ)
Q1. 認知症の検査は何科で受けられますか?
A. 神経内科・精神科・老年科などで受診できます。まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうとスムーズです。
Q2. 長谷川式とMMSEはどちらが正確ですか?
A. 優劣の問題ではなく、それぞれ特性があります。長谷川式は日本語環境に最適化されており、MMSEは国際的な比較研究で多用されます。どちらもスクリーニング検査であり、最終的な診断には医師による総合評価が必要です。
Q3. 検査の結果が「正常範囲」でも、認知症ではないといえますか?
A. スクリーニング検査の点数が基準値内であっても、軽度認知機能障害(MCI)の段階である可能性はあります。生活上の困難が続く場合は、継続的な経過観察が重要です。
Q4. 本人が「病院に行きたくない」と言っています。どうすればいいですか?
A. 無理に連れて行こうとすると本人の不安が高まることがあります。「健康診断の一環として」など自然な形で案内する工夫や、訪問診療を活用して自宅で相談する方法も選択肢のひとつです。
Q5. 費用はどのくらいかかりますか?
A. 初診料・検査料・画像検査費用など医療機関や検査内容によって異なります。医療保険が適用されますが、自己負担額は受給者証や介護保険の状況によって変わります。事前に医療機関に確認することをお勧めします。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門:消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員/全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー/神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役
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TEL: 045-978-0455
ご相談の際は、以下の書類をご用意いただくとスムーズです。
- 薬剤情報提供書またはお薬手帳の写し
- 医療保険証・公費証明書・各種受給者証の写し
- 介護保険証・介護保険負担割合証の写し
- 限度額適用認定証等の写し
- 印鑑