介護医療院とは?対象・費用・医療体制をわかりやすく解説
介護医療院は、長期的な医療ケアと生活支援(介護)を一体的に提供する公的な介護保険施設です。医師・看護師が常駐し、医療依存度の高い要介護高齢者が「その人らしい生活」を続けられるよう設計されています。
「療養型病院と何が違うの?」「費用はどのくらいかかる?」と疑問を抱えている介護家族やケアマネジャーの方に向けて、制度の仕組みから費用の目安・申請の流れまでをわかりやすく解説します。なお、個々の状況に応じた判断は医師や担当ケアマネジャーへご相談ください。
📌 高齢者の施設選びの全体像については、高齢者の施設・住まいの選び方 完全ガイドもあわせてご覧ください。
介護医療院とは?
介護医療院は、2018年(平成30年)の介護保険法改正によって新設された介護保険施設です(厚生労働省「介護保険法改正の概要」参照)。それまで存在していた「介護療養型医療施設(療養病床)」の廃止(移行)に伴い、その後継として位置づけられています。
主な特徴
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 要介護1以上で、長期にわたる医療管理が必要な方 |
| 医療体制 | 医師・看護師が常勤。夜間も看護職員が配置 |
| 生活支援 | 介護・リハビリ・レクリエーション等を提供 |
| 施設類型 | Ⅰ型(重篤な身体疾患・認知症対応)・Ⅱ型(比較的安定した状態) |
Ⅰ型は重篤な身体疾患を有する方や、重度認知症への対応が中心です。Ⅱ型はⅠ型ほどの医療ニーズは高くないものの、日常的な医療管理が必要な方を対象とします。
介護医療院が創設された背景
従来の療養型病院(介護療養型医療施設)は「病院」のため生活環境が制限されがちでした。介護医療院は「住まい」としての機能も重視し、プライバシーへの配慮や家族との面会環境の整備など、生活の質(QOL)の向上が設計思想に組み込まれています。
費用の内訳と相場
介護医療院の費用は、介護保険サービス費+居住費・食費+日常生活費で構成されます。
初期費用/月額の目安
初期費用(入居一時金)
多くの介護医療院は公的施設のため、入居一時金は原則不要です。ただし、施設によっては保証金等が必要な場合もあります。
月額費用の目安(目安であり、個人の状況・施設によって異なります)
| 費用項目 | 目安額(月額) |
|---|---|
| 介護保険サービス費(1割負担の場合) | 約2〜3万円 |
| 居住費(多床室〜個室) | 約1〜6万円 |
| 食費 | 約4〜5万円 |
| 日常生活費(日用品・理美容等) | 約1〜2万円 |
| 合計(目安) | 約8〜16万円程度 |
※介護保険の自己負担割合(1〜3割)や所得・要介護度によって大きく変動します。
※居住費・食費は「補足給付(特定入所者介護サービス費)」の対象となる場合があります(後述)。
費用を抑える制度・軽減措置
介護医療院の費用負担を軽減できる公的制度があります。
① 高額介護サービス費制度
月々の介護サービス費の自己負担が一定の上限額を超えた場合、超過分が払い戻されます(所得段階に応じて上限額が設定)。
② 補足給付(特定入所者介護サービス費)
低所得の方を対象に、居住費・食費の自己負担が軽減される制度です。収入や預貯金額などの要件があるため、市区町村の窓口または担当ケアマネジャーにご確認ください。
③ 高額医療・高額介護合算療養費制度
同一世帯で医療費と介護費の合算が年間の上限を超えた場合に払い戻される制度です。医療依存度の高い方には特に有効です。
費用シミュレーション例
【例】要介護4、単身・低所得(非課税世帯)の場合
- 介護サービス費(1割):約2.5万円
- 居住費(補足給付適用後):約3.2万円(多床室)
- 食費(補足給付適用後):約1.4万円
- 日常生活費:約1万円
- 月額合計:約8.1万円程度
上記はあくまで試算例です。実際の費用は要介護度・所得区分・施設の種類・地域によって異なります。担当ケアマネジャーや施設の相談員にご相談の上、具体的な見積もりを確認してください。
申請・利用開始までの流れ
- 要介護認定の取得 市区町村窓口または地域包括支援センターへ申請します(要介護1以上が対象)。
- 担当ケアマネジャーへ相談 施設の空き状況や本人の医療ニーズを踏まえ、施設候補を絞ります。
- 施設への見学・問い合わせ 医療体制・居住環境・費用を確認します。
- 施設への申し込み・審査 医療情報(診断書・主治医意見書等)を提出します。
- 入居契約・入居開始 重要事項説明を受けた上で契約を締結します。
関連キーワード補足
介護医療院とは/介護医療院 費用
上記のとおり、介護医療院は2018年に創設された介護保険施設で、医療と介護の両方を一体的に提供します。月額費用は施設種別や所得によって異なりますが、各種軽減制度を活用することで負担を抑えられる場合があります。
介護医療院 療養型病院 違い
| 介護医療院 | 療養型病院(医療療養病床) | |
|---|---|---|
| 根拠法 | 介護保険法 | 医療法 |
| 主な目的 | 医療+生活支援(住まい) | 医療中心 |
| 費用の保険 | 介護保険 | 医療保険 |
| 生活環境 | 住まいとして重視 | 病院の入院環境 |
医療保険を使う療養型病院(医療療養病床)は、急性期治療後も医療依存度が高い方が対象です。一方、介護医療院は介護保険を使い、生活の場としての環境整備にも力を入れています。どちらが適切かは、主治医や担当ケアマネジャーとご相談の上で判断してください。
老人ホーム・グループホーム・有料老人ホームとの違い
介護医療院は医師が常勤し、医療行為が手厚い点が最大の特徴です。医療依存度が低い方や、認知症への専門的サポートを希望する場合は、他の施設種別も選択肢になります。
- 医療依存度が低く介護を中心に求める方 → 老人ホームの種類と選び方
- 認知症のある方への少人数ケアを希望する場合 → グループホームとは?認知症の方向け施設の費用と条件
- 介護・生活支援を民間施設で受けたい場合 → 有料老人ホームとは?種類・費用・選び方を解説
あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)
「施設への入居を検討しているが、今すぐ入居できるか不安」「在宅療養を続けながら施設入居のタイミングを探りたい」——そのような場合、訪問診療(在宅医療)が在宅と施設の橋渡しとして役立つことがあります。
メディカルクリニックあざみ野では、医療依存度の高い高齢者の在宅療養を主治医として支援するとともに、施設入居の選択肢についても医師の立場からご相談に応じています。不安なことがあれば、まずはお気軽にご連絡ください。
👉 在宅医療のご相談・お問い合わせ
📞 TEL:045-978-0455
よくある質問(FAQ)
Q1. 介護医療院に入るには、どのくらいの要介護度が必要ですか?
A. 介護保険法上、要介護1以上が対象です。ただし、施設の医療体制によっては、一定以上の医療ニーズが求められる場合があります。詳細は担当ケアマネジャーや施設の相談員にご確認ください。
Q2. 入院中でも申し込みできますか?
A. 可能です。病院のソーシャルワーカー(医療相談員)や担当ケアマネジャーと連携し、退院後の受け入れ先として申し込む流れが一般的です。
Q3. 看取りは行ってもらえますか?
A. 多くの介護医療院では、本人・家族の意向を踏まえた看取りへの対応を行っています。入居前に施設の方針を確認することをお勧めします。
Q4. 費用が払えなくなった場合はどうすればよいですか?
A. 生活保護制度や補足給付(特定入所者介護サービス費)など、公的な支援制度が利用できる場合があります。市区町村の福祉窓口や、施設の生活相談員にご相談ください。
Q5. 介護医療院と特別養護老人ホーム(特養)はどう違いますか?
A. 特養は原則として要介護3以上を対象とし、医師は非常勤のケースが多いです。介護医療院は医師が常勤し、日常的な医療管理が必要な方を対象としています。詳しくは特別養護老人ホーム(特養)とは?費用・入居条件・待機をご参照ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門領域: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター 外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員/全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー/神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役