要介護1とは?使えるサービスと支給限度額の目安
「親が要介護1と認定されたけれど、具体的に何ができるのかわからない」——そのような疑問をお持ちの方に向けて、この記事では要介護1の定義・使えるサービス・支給限度額を中心に、わかりやすく解説します。介護保険制度の基本的な仕組みについては、親ピラー記事「介護保険・制度・費用のすべて|申請から給付まで」もあわせてご参照ください。
要介護1とは?
要介護1とは、介護保険法にもとづく「要介護認定」において、5段階ある要介護度のうち最も軽い区分です。厚生労働省の定義では、「日常生活上の基本的な動作については、ほぼ自分で行うことが可能だが、一部に介助が必要な状態」とされています。
具体的には、歩行が不安定、物忘れや理解力の低下が見られる、入浴・排せつ・服薬管理などの一部で見守りや介助が必要——といった状態像が目安となります。要介護認定の結果は、要支援1・2と要介護1〜5の合計7段階で示され、要介護1はその境界に位置します。
ポイント: 要介護認定の結果はあくまで目安であり、同じ「要介護1」でも個人差があります。ケアプランは担当ケアマネジャーと相談のうえ、個人の状態に応じて作成されます。
仕組み・種類(使えるサービスと支給限度額)
介護保険の支給限度額(区分支給限度基準額)
要介護1と認定されると、介護保険の区分支給限度基準額の範囲内でサービスを利用できます。2024年度時点では、要介護1の月あたりの支給限度額は約16万7,650円(1割負担の場合、自己負担の目安は約1万6,765円)です。限度額を超えた分は全額自己負担となります。
なお、自己負担割合は所得に応じて1〜3割となります。住民税非課税世帯の方は介護費用の軽減制度(補足給付など)を受けられる場合があります。詳しくは「住民税非課税世帯とは?介護費用への影響を解説」をご覧ください。
主に使えるサービスの種類
| サービス区分 | 具体例 |
|---|---|
| 居宅サービス | 訪問介護(ホームヘルパー)、訪問入浴、訪問看護、通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)など |
| 福祉用具 | 手すり・歩行補助具・特殊寝台のレンタル等 |
| 住宅改修 | 手すり取り付け、段差解消など(上限20万円) |
| 施設サービス | 特養(特別養護老人ホーム)は原則として要介護3以上が対象のため、要介護1では入所が難しい場合があります |
メリット・デメリット
要介護1認定のメリット
- 介護保険サービスが利用できる:要支援1・2では利用できなかったサービス(訪問介護など)が幅広く使えるようになります。
- ケアマネジャーがつく:居宅介護支援事業所のケアマネジャーが無料でケアプランを作成・管理します。
- 家族の介護負担を軽減できる:定期的なデイサービス利用やショートステイにより、家族の休息時間(レスパイト)を確保しやすくなります。
注意すべき点
- 施設入所の選択肢が限られる:前述のとおり、特養は原則要介護3以上が対象のため、必要に応じてグループホームや有料老人ホームなど他の選択肢を検討する必要があります。
- 支給限度額の管理が必要:希望するサービスをすべて利用すると限度額を超えることがあります。ケアマネジャーと定期的に計画を見直すことが大切です。
在宅での管理・注意点
家族が気をつけること
要介護1の方を在宅で支える場合、以下の点に注意することが重要です。
① 転倒・転落の予防
軽度の認知機能低下や歩行の不安定さから、転倒リスクが高まります。室内の段差解消や手すりの設置(住宅改修)を検討してください。
② 服薬管理のサポート
物忘れにより服薬を忘れたり、重複して飲んでしまうことがあります。お薬カレンダーや服薬支援ツールの活用、または訪問看護・ヘルパーによるサポートが有効です。
③ 口腔・栄養状態の確認
食欲低下や誤嚥(ごえん)のリスクに早めに気づくことが重要です。定期的な歯科受診や、必要に応じた栄養士・言語聴覚士への相談も検討してください。
④ 家族自身のケアも大切に
介護者の過度な負担は「介護疲れ」につながります。ショートステイや通所サービスを積極的に活用し、自分自身の健康も守ることが長期的な在宅介護の継続につながります。
受診・相談の目安
以下のような変化が見られた場合は、かかりつけ医や地域の専門機関への相談をご検討ください(受診を急かすものではなく、あくまで目安です)。
- 転倒や骨折が増えてきた
- 認知症の症状が進行していると感じる
- 食事量の著しい低下・体重減少が続いている
- 排せつの失敗が増え、在宅での管理が難しくなってきた
- 家族の介護負担が大きくなり、精神的・身体的につらい
地域の相談窓口として、地域包括支援センターを利用することもできます。要介護認定の申請代行や、ケアマネジャーの紹介など、多岐にわたる相談に対応しています。詳しくは「地域包括支援センターとは?役割・相談できること」をご覧ください。
在宅医療(訪問診療)の導入を検討している場合は、在宅医療のご相談・お問い合わせからお気軽にお問い合わせください。
関連キーワード補足
要支援2と要介護1の違い
要支援2は「日常生活の一部に支援が必要な状態」で、介護予防サービス(予防給付)が中心です。一方、要介護1は「部分的な介護が必要な状態」であり、介護給付(居宅サービスなど)を幅広く利用できます。同じような身体状況でも、認知機能の低下や生活上の課題の程度によって判定が分かれることがあります。判定に疑問がある場合は、認定調査後60日以内に不服申し立て(審査請求)が可能です。
要介護1と要介護2の違い
要介護1が「一部介助が必要」なのに対し、要介護2は「日常生活全般に部分的な介助が必要」な状態で、身体機能・認知機能ともに低下が進んだ段階です。支給限度額も要介護2では約19万7,050円(2024年度目安)と高くなり、利用できるサービス量が増えます。
厚生年金と介護費用の関係
介護費用の自己負担額は、年金収入を含む所得をもとに判定されます。厚生年金を受給している場合、その年収によって自己負担割合(1〜3割)や高額介護サービス費の上限額が変わります。老後の年金と介護費用の関係については「厚生年金と介護費用|老後の年金と負担の基礎知識」で詳しく解説しています。
あざみ野の訪問診療によるサポート
メディカルクリニックあざみ野では、要介護1を含む在宅療養中の高齢者の方を対象に、訪問診療を提供しています。定期的な健康チェック・服薬管理・疼痛コントロール・急変時の対応など、ご自宅での療養を医療面からサポートします。
「通院が難しくなってきた」「認知症の症状が気になる」「在宅で最期まで過ごしたい」など、どのようなご相談でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。
👉 在宅医療のご相談・お問い合わせ
📞 TEL:045-978-0455
よくある質問(FAQ)
Q1. 要介護1の認定を受けるにはどうすればよいですか?
A. 市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターに「要介護認定の申請」を行います。申請後、訪問調査と主治医意見書をもとに審査が行われ、結果が通知されます。申請から通知まで原則30日以内が目安とされています。
Q2. 要介護1でも特別養護老人ホームには入れますか?
A. 特別養護老人ホーム(特養)への入所は、原則として要介護3以上が対象です。ただし、認知症や家庭環境など特別の事情がある場合は例外的に認められることもあります。入所を検討する場合はケアマネジャーにご相談ください。
Q3. 要介護1の支給限度額を超えてサービスを使いたい場合はどうなりますか?
A. 支給限度額を超えた分のサービス費用は、全額自己負担となります。必要なサービスが限度額を超える場合は、ケアマネジャーと相談しながら優先順位を決めることが重要です。
Q4. 要介護1の認定が出たあと、すぐにサービスを使えますか?
A. 認定結果が出たあと、担当ケアマネジャーを決めてケアプランを作成することが必要です。ケアプランが完成次第、各サービス事業者と契約してサービス利用が始まります。
Q5. 家族が遠方に住んでいる場合、介護保険サービスは使えますか?
A. 要介護者本人が住む市区町村の介護保険が適用されます。遠方に住む家族の方は、地域の地域包括支援センターやケアマネジャーと連携しながら支援体制を組むことができます。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。