要介護認定とは?申請方法・区分・認定までの流れ
「親が最近転びやすくなった」「一人での入浴が難しくなってきた」――そのような変化に気づいたとき、介護保険サービスを利用するために必要になるのが要介護認定です。要介護認定とは、介護保険制度のもとで「どの程度の介護が必要か」を公的に判定する手続きのこと。認定を受けることで、訪問介護やデイサービスなど介護保険サービスを自己負担1〜3割で利用できるようになります。この記事では、認定の仕組みから申請方法、よくある失敗まで、介護をする家族やケアマネジャーの方にわかりやすく解説します。
この記事は、介護保険・制度・費用のすべて|申請から給付までの関連記事です。
介護認定とは?
要介護認定とは、市区町村が介護保険法に基づき、申請者の心身の状態を調査・審査し、必要な介護の度合いを判定する制度です(根拠:介護保険法第19条)。判定結果は「非該当(自立)」「要支援1〜2」「要介護1〜5」の8区分に分かれており、区分によって利用できるサービスの種類や支給限度額が異なります。
認定はあくまで「介護の必要度」を示すものであり、特定の疾患の診断や治療効果を保証するものではありません。主治医の意見書も審査に用いられますが、最終的な判定は市区町村の介護認定審査会が行います。
対象となる人・条件
要介護認定を申請できるのは、以下のいずれかに該当する方です。
| 区分 | 年齢 | 条件 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 65歳以上 | 原因を問わず、日常生活に介護が必要な状態 |
| 第2号被保険者 | 40〜64歳 | 特定疾病(※)が原因で介護が必要な状態 |
※特定疾病には、脳血管疾患・初老期における認知症・がん末期など16疾病が定められています(厚生労働省「介護保険の対象となる特定疾病」)。
介護保険に加入していることが前提となりますが、40歳以上であれば原則として加入しているため、多くの方が対象になります。介護保険の仕組みについては、介護保険とは?対象・使い方・自己負担をわかりやすく解説もあわせてご参照ください。
手順・やり方(ステップ解説)
要介護認定の申請から結果通知までは、おおむね以下の流れで進みます。
ステップ1:市区町村の窓口へ申請
お住まいの市区町村の介護保険担当窓口または地域包括支援センターに申請書を提出します。家族や居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)が代行申請することも可能です。地域包括支援センターの役割については、地域包括支援センターとは?役割・相談できることをご覧ください。
ステップ2:認定調査(介護認定調査)
市区町村の調査員が自宅や入院先を訪問し、介護認定調査(心身の状態に関する74項目の聞き取り・観察)を行います。調査では「起き上がり」「歩行」「食事」「意思疎通」など日常動作の状態を確認します。
ステップ3:主治医意見書の作成
市区町村が申請者のかかりつけ医(主治医)へ直接依頼します。意見書には、傷病の状況・認知症の程度・医療行為の必要性などが記載され、審査の重要な判断材料となります。
ステップ4:一次判定(コンピュータ判定)
認定調査の結果と主治医意見書をもとに、全国共通のソフトウェアで一次判定が行われます。
ステップ5:二次判定(介護認定審査会)
医療・保健・福祉の専門家で構成される介護認定審査会が一次判定結果と主治医意見書を総合的に審査し、最終的な要介護度を決定します。
ステップ6:認定結果の通知
申請から原則30日以内に認定結果が書面で通知されます。有効期間は原則12か月(更新や状態変化時は変更申請も可能)。
必要な書類・準備
| 書類 | 備考 |
|---|---|
| 介護保険被保険者証 | 65歳以上は市区町村から交付済み |
| 要介護認定申請書 | 市区町村窓口・ウェブサイトで入手可 |
| 健康保険証(第2号被保険者) | 40〜64歳の場合に必要 |
| かかりつけ医の情報 | 氏名・医療機関名・電話番号 |
かかりつけ医がいない場合や、在宅医(訪問診療医)が主治医となっている場合も意見書の作成が可能です。不明な点は担当窓口へご確認ください。
注意点・よくある失敗
① 認定調査当日に「良い状態」を見せてしまう
「しっかりしているところを見せなければ」と普段より無理をしてしまうケースがあります。調査当日は普段通りの状態・困っていることを正直に伝えることが大切です。
② 主治医がいない状態で申請する
意見書を依頼できる医師がいないと、審査が遅れる場合があります。かかりつけ医が決まっていない方は、早めに相談先を確保しておきましょう。
③ 認定結果に納得できないときの対応を知らない
結果に疑問がある場合は、通知書が届いた日の翌日から60日以内に都道府県の介護保険審査会へ不服申し立て(審査請求)ができます。また、状態が悪化した場合は有効期間内でも「区分変更申請」が可能です。
④ 認定前にサービスを利用してしまう
認定が下りる前に介護保険サービスを使っても、原則として保険給付の対象になりません(一部例外あり)。申請前に担当窓口へご確認ください。
困ったときの相談先
| 相談先 | 主な内容 |
|---|---|
| 市区町村の介護保険担当窓口 | 申請・書類・手続き全般 |
| 地域包括支援センター | 介護相談、申請代行、ケアプラン |
| 居宅介護支援事業所(ケアマネジャー) | サービス調整・申請代行 |
| かかりつけ医・訪問診療医 | 主治医意見書・医療的ケアの相談 |
認知症や医療依存度が高い方、複数の疾患をお持ちの方は、医療機関や在宅医療チームとも連携して準備を進めると安心です。
関連キーワード補足
要介護認定とは
冒頭でも述べた通り、要介護認定は介護保険法に基づく公的な判定制度です。「介護認定 レベル」とも呼ばれる要介護度は、日常生活の自立度や認知機能、医療的ケアの必要性などを総合して判定されます。
要介護認定区分 早わかり表
以下に各区分の目安をまとめます。あくまで参考です。実際の判定は個人の状態により異なります。
| 区分 | 状態の目安 | 支給限度額(月額・2024年度) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 日常生活はほぼ自立。一部に支援が必要 | 約50,320円 |
| 要支援2 | 要支援1より支援が必要な状態 | 約105,310円 |
| 要介護1 | 立ち上がり・歩行が不安定。認知機能の低下も見られる | 約167,650円 |
| 要介護2 | 歩行・排泄などに一部介助が必要 | 約197,050円 |
| 要介護3 | 排泄・入浴・歩行に全面的な介助が必要 | 約270,480円 |
| 要介護4 | 日常生活全般に介助が必要。意思疎通困難なことも | 約309,380円 |
| 要介護5 | 日常生活全般に介助が必要。意思疎通が困難な状態 | 約362,170円 |
※支給限度額は自己負担1〜3割を差し引く前の額。詳細は市区町村窓口または厚生労働省の案内をご確認ください。
介護認定を受けるには
基本的な流れは前述のステップ1〜6の通りです。「介護認定を受けるには」と検索される方には、まず市区町村の介護保険担当窓口か地域包括支援センターへ相談することをお勧めします。書類の準備や医師の手配など、窓口スタッフが丁寧に案内してくれます。
あざみ野の訪問診療によるサポート
在宅で療養されている方や、医療機関への通院が難しい方にとって、訪問診療医が主治医として意見書を作成できることは、要介護認定をスムーズに進めるうえで大きなメリットです。
メディカルクリニックあざみ野では、在宅医療・訪問診療を通じて、高齢の患者様やそのご家族を多職種チームでサポートしています。要介護認定に必要な主治医意見書の作成はもちろん、認定後のケアプラン作成に向けたケアマネジャーとの連携、医療的ケアが必要な方の生活支援まで、幅広くお手伝いいたします。
「どの医師に主治医意見書を依頼すればよいか迷っている」「在宅での療養に不安がある」という方は、お気軽にご相談ください。
👉 在宅医療のご相談・お問い合わせ / TEL 045-978-0455
よくある質問(FAQ)
Q1. 要介護認定の申請は、本人でなくても行えますか?
A. はい、家族・成年後見人・居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)・地域包括支援センターなどが代行申請できます。本人が医療機関に入院中・施設に入所中の場合でも申請は可能です。
Q2. 認定結果が出る前でも、介護サービスを使い始められますか?
A. 原則として、認定が下りた後にサービス利用が開始されます。ただし、申請後に暫定的にケアプランを作成し、サービスを利用できる場合もあります。詳細は担当ケアマネジャーや市区町村窓口にご確認ください。
Q3. 40歳未満でも要介護認定を受けられますか?
A. 介護保険の被保険者は40歳以上のため、40歳未満は原則として介護保険の対象外です。40歳未満で介護が必要な方は、障害者総合支援法による障害福祉サービスなど別の制度をご活用ください。
Q4. 要介護認定の有効期間はどのくらいですか?
A. 新規申請の場合は原則6か月、更新申請の場合は原則12か月(最長48か月)です。認定期間内でも心身の状態が大きく変化した場合は「区分変更申請」を行うことができます。
Q5. 認定結果に納得できない場合はどうすればよいですか?
A. 通知書の翌日から60日以内に、都道府県の介護保険審査会へ不服申し立て(審査請求)ができます。また、担当の市区町村窓口へ理由を確認し、必要に応じて再申請・区分変更申請を検討することも選択肢の一つです。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員 / 全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー / 神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役