介護休業・介護休暇とは?取得条件・給付金をわかりやすく解説
家族の介護が必要になったとき、「仕事を続けながら介護できるのか」と悩む方は少なくありません。介護休業は、要介護状態の家族を持つ労働者が、一定期間仕事を休める権利として育児・介護休業法に定められた制度です。給付金の支給や雇用の継続を支援する仕組みも整備されており、介護離職を防ぐための重要なセーフティネットとなっています。本記事では、制度の概要・取得条件・給付金・介護休暇との違いをわかりやすく解説します。
免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、個別の労務・医療に関する判断は、専門家(社会保険労務士・医師等)へご相談ください。
介護休業とは?
介護休業とは、育児・介護休業法(正式名称:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)に基づき、要介護状態にある家族を介護するために取得できる休業制度です(厚生労働省)。
対象となる「要介護状態」とは、負傷・疾病・身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態を指します。介護保険の要介護認定を受けていることが必須条件ではなく、あくまで「常時介護が必要な状態」であるかどうかが基準となります。
対象家族の範囲は、配偶者(事実婚を含む)・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。
仕組み・種類
介護休業の基本的な仕組み
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 取得日数 | 対象家族1人につき通算93日まで |
| 分割取得 | 3回まで分割して取得可能 |
| 対象者 | 日雇い労働者を除く労働者(有期雇用者は一定の条件あり) |
| 申出方法 | 原則として休業開始予定日の2週間前までに書面等で申し出る |
2022年4月の育児・介護休業法改正により、有期雇用労働者の取得要件が緩和されました。取得を希望する場合は、勤務先の人事・総務担当部署へ確認することをお勧めします。
介護休業給付金
介護休業中の収入補填として、雇用保険の介護休業給付金が支給されます(ハローワーク)。
- 支給額: 休業開始時の賃金日額×支給日数×67%
- 支給上限: 1支給単位期間(28日)あたり上限額あり(毎年8月1日に改定)
- 申請先: 勤務先を通じてハローワークへ申請
- 非課税扱い: 介護休業給付金は所得税・住民税が非課税です(雇用保険法)
なお、給付金の受給要件として、休業開始前の2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが必要です。詳細は勤務先またはハローワークにご確認ください。
介護休暇との違い
介護休暇は介護休業と混同されやすいですが、目的と取得単位が異なります。
| 介護休業 | 介護休暇 | |
|---|---|---|
| 主な目的 | 介護体制の構築・準備期間 | 通院の付き添いなど短期の対応 |
| 取得日数 | 通算93日(3回分割可) | 年間5日(対象家族2人以上は10日) |
| 取得単位 | 一定期間のまとまった休業 | 1日または時間単位で取得可能 |
| 給付金 | あり(雇用保険) | なし |
介護休業は「在宅介護や施設利用などの体制を整えるための期間」として活用することが想定されており、長期の介護に充てるよりも介護サービスの準備や調整に使うことが本来の趣旨とされています。
メリット・デメリット
メリット
- 雇用が守られる: 介護休業を理由とした解雇・不利益取扱いは法律で禁止されています。
- 給付金による収入補填: 賃金の約67%が支給されるため、介護離職と比べて経済的な負担を軽減できます。
- 介護保険の被保険者資格は継続: 休業中も厚生年金・健康保険の被保険者資格は原則として継続されます。
デメリット・注意点
- 93日の上限: 長期化する介護には日数が足りない場合があります。介護体制が整った後は訪問介護・デイサービス等の介護保険サービスの活用が現実的な選択肢となります。
- 給付金は後払い: 給付金はハローワークへの申請後に支給されるため、休業中の生活資金の準備が必要です。
- 職場への影響: チームや業務への影響を考慮し、早めに上司・人事へ相談することが重要です。
介護保険制度の活用については、介護保険とは?対象・使い方・自己負担をわかりやすく解説もあわせてご参照ください。
在宅での管理・注意点
家族が気をつけること
介護休業を取得した期間は、長期的な介護体制の整備に充てることが大切です。以下の点に留意しながら準備を進めましょう。
- ケアマネジャーへの早期相談: 介護認定の申請や居宅サービス計画(ケアプラン)の作成は時間を要します。休業開始前から地域包括支援センターや担当ケアマネジャーへ相談を始めることをお勧めします。
- 社会保険・税金への影響を確認する: 休業中も厚生年金・健康保険の保険料は原則発生します。住民税非課税世帯に該当するかどうかで介護費用の自己負担額が変わる場合もあります。詳しくは住民税非課税世帯とは?介護費用への影響を解説をご参照ください。
- 介護する側の健康管理: 介護者自身の睡眠・食事・精神的健康も重要です。一人で抱え込まず、専門職や家族と役割を分担しましょう。
- 訪問診療の検討: 在宅での療養を継続する場合、訪問診療を活用することで介護者の通院付き添いの負担を軽減できます。
受診・相談の目安
以下のような状況では、早めに専門家・医療機関へご相談ください。
- 家族の状態が急変し、常時介護が必要になった
- 在宅での介護継続が難しくなってきた
- 介護者自身の体調不良・精神的疲弊が続いている
- 薬の管理・褥瘡(床ずれ)・栄養状態など医療的ケアが必要な場面が増えた
在宅での医療サポートについては、在宅医療のご相談・お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
関連キーワード補足
介護休業給付金
前述のとおり、雇用保険から支給される給付金です。休業開始時賃金日額の67%が支給され、所得税・住民税は非課税です。申請はハローワークを通じて行います。
介護休業の条件
①要介護状態にある対象家族がいること、②日雇い労働者でないこと、③有期雇用の場合は休業開始から93日が経過する日以降も雇用が継続されることが見込まれること(労使協定による除外がない場合)、の3点が主な条件です。
介護休暇と介護休業の違い
介護休暇は年間5〜10日・時間単位での取得が可能で、給付金はありません。介護休業は93日を上限とした比較的長期の休業で、給付金の対象となります。
厚生年金への影響
介護休業中も厚生年金の被保険者資格は継続されます。ただし、休業中の標準報酬月額や保険料の取り扱いについては、勤務先の担当部署または年金事務所にご確認ください。老後の年金と介護費用の関係については厚生年金と介護費用|老後の年金と負担の基礎知識もご参照ください。
あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)
メディカルクリニックあざみ野では、要介護状態の高齢者を在宅で支えるご家族に向けた訪問診療・在宅医療を提供しています。介護休業期間中に医療体制を整えたい方、在宅療養の継続について不安をお感じの方は、ぜひ一度ご相談ください。
介護休業の期間を有効に活用し、訪問診療・訪問看護・ケアマネジャーとの連携による安心できる在宅介護体制を一緒に考えます。
TEL: 045-978-0455
よくある質問(FAQ)
Q1. 介護休業は有給休暇と同時に使えますか?
A. 介護休業中に年次有給休暇を取得することは可能です。ただし、有給休暇取得日は賃金が支払われるため、その日は介護休業給付金の支給対象外となる場合があります。詳細は勤務先またはハローワークにご確認ください。
Q2. 介護休業中も社会保険料を払わなければなりませんか?
A. 原則として、介護休業中も健康保険・厚生年金の保険料は発生します。育児休業中のような保険料免除制度は、介護休業では現時点では設けられていません(2024年時点)。
Q3. パートタイム労働者でも介護休業は取得できますか?
A. 有期雇用労働者(パートタイム含む)の場合、2022年4月の法改正により取得要件が緩和されました。申し出時点で休業開始日から93日が経過する日以降も雇用継続の見込みがあれば取得できます。詳細は勤務先の人事担当者へご確認ください。
Q4. 介護休業は93日を使い切らないといけませんか?
A. 93日はあくまで「通算の上限日数」です。必要な日数だけ取得できます。また3回まで分割して取得できるため、介護の状況に応じて柔軟に使うことが可能です。
Q5. 「要介護状態」かどうかはどう判断すればよいですか?
A. 育児・介護休業法上の「要介護状態」は、介護保険の要介護認定とは別の判断基準です。「2週間以上にわたり常時介護が必要な状態」であれば対象となりますが、判断に迷う場合は勤務先の人事担当者や社会保険労務士にご相談ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員 / 全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー / 神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役