褥瘡(床ずれ)・皮膚・清潔ケア ガイド|在宅での予防・対処・相談先まで網羅
在宅療養中の高齢者に多くみられる褥瘡(じょくそう)は、適切なケアで予防・改善が期待できる状態です。このページでは、褥瘡の定義・原因・好発部位といった基礎知識から、入浴介助などの清潔ケア、費用・制度の活用方法、訪問診療への相談窓口まで、介護家族やケアマネジャーが必要とする情報を体系的に解説します。
褥瘡とは|このページでわかること
褥瘡(読み方:じょくそう) とは、同一部位への持続的な圧迫や摩擦・ずれによって皮膚や皮下組織が損傷した状態を指し、一般的に「床ずれ(とこずれ)」とも呼ばれます。
在宅療養では「気づいたときには深い傷になっていた」というケースが少なくありません。しかし、早期に発見して適切に対処できれば、悪化を防ぐことができます。このガイドページでは、テーマ全体を一望できる「ピラーページ」として、以下の3つの視点から情報を提供します。
- 褥瘡・皮膚トラブルの全体像(基礎知識)
- 各テーマの詳しい解説(クラスター記事へのリンク)
- 費用・制度と訪問診療への相談方法
対象となる方・こんな悩みに答えます
- 介護をするご家族の方:「床ずれができてしまった」「予防方法を知りたい」「入浴介助のやり方が不安」
- ケアマネジャーの方:「利用者の皮膚状態の観察ポイントは?」「訪問診療と連携すべき判断基準は?」
- どなたにでも共通:「褥瘡とはどんな状態か」「費用や制度はどうなっているか」
褥瘡の基礎知識(全体像)
褥瘡(床ずれ)とは何か
褥瘡は、骨の突出した部位が長時間にわたって圧迫されることで、その部位の血流が途絶え、皮膚・皮下組織に壊死が起きる状態です。日本褥瘡学会の定義では「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状況が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」とされています。
詳しい定義・メカニズム・分類については、褥瘡(床ずれ)とは?原因・好発部位・在宅での予防をご参照ください。
主な原因
褥瘡の発生には複数の要因が複合的に関与します。
| 要因の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 外的要因 | 圧迫・摩擦・ずれ、湿潤(発汗・失禁など) |
| 内的要因 | 栄養状態の低下、加齢による皮膚の脆弱化、知覚障害、循環障害 |
| 社会的要因 | 介護力の不足、適切なケア用具の未使用 |
これらの要因が重なるほどリスクが高まります。なお、リスクの評価には「ブレーデンスケール」や「OHスケール」などのアセスメントツールが活用されています(日本褥瘡学会ガイドラインに準拠)。
褥瘡の好発部位
褥瘡は骨が突出している部位に生じやすいとされています。体位ごとの主な好発部位は以下のとおりです。
- 仰臥位(あおむけ):仙骨部・踵部・後頭部・肩甲骨部
- 側臥位(横向き):大転子部・膝関節部・くるぶし部
- 座位(車いす等):坐骨部・尾骨部・踵部
特に仙骨部は褥瘡が発生しやすい部位として知られており、在宅での観察において重点的に確認が必要な箇所です。
褥瘡の進行度(重症度分類)
日本褥瘡学会はDESIGN-R®というツールで褥瘡を評価します。また国際的にはNPUAP/EPUAP分類(ステージI〜IV+分類不能・深部組織損傷)が広く使われます。
- ステージI:皮膚に発赤がみられるが、皮膚の損傷はない
- ステージII:真皮に及ぶ部分的な皮膚の損傷(水疱・びらんなど)
- ステージIII:皮下組織に及ぶ全層皮膚損傷
- ステージIV:筋肉・腱・骨に及ぶ全層組織の損傷
初期のうちに発見し適切に対処することが、重症化を防ぐうえで重要です。初期症状の見分け方については床ずれの初期症状と対処|写真でわかる進行度で詳しく解説しています。
清潔ケアと皮膚保護の重要性
褥瘡の予防・改善において、皮膚を清潔に保つことは基本的かつ重要なケアです。発汗・失禁などによる湿潤は皮膚のバリア機能を低下させ、摩擦への脆弱性を高めます。定期的な洗浄と保湿、そして皮膚に過度な力をかけない体位変換や介助方法の習得が求められます。
入浴や清拭の安全な手順については入浴介助の手順と注意点|在宅での安全な方法をご覧ください。
テーマ別の詳しい解説(各クラスター記事へ)
褥瘡(床ずれ)の原因・好発部位・在宅での予防
「褥瘡とは何か」「なぜ起きるのか」「どこにできやすいのか」を基礎から丁寧に解説しています。在宅でできる予防策(体位変換の頻度・方法、体圧分散マットレスの選び方など)も紹介しています。
→ 詳しくは褥瘡(床ずれ)とは?原因・好発部位・在宅での予防をご覧ください。
入浴介助の手順と注意点
入浴は清潔保持と皮膚観察の重要な機会です。安全な入浴介助の手順、バイタルサインの確認ポイント、認知症・麻痺がある方への配慮、訪問看護・訪問入浴サービスとの使い分けなどを解説しています。
→ 詳しくは入浴介助の手順と注意点|在宅での安全な方法をご覧ください。
床ずれの初期症状と対処
「赤みが消えない」「皮がむけている」など、気になる皮膚の変化への対処法を写真とともに解説。ステージ別の自宅でできるケアの範囲と、医療機関・訪問診療に相談すべきタイミングの目安を紹介しています。
→ 詳しくは床ずれの初期症状と対処|写真でわかる進行度をご覧ください。
費用・制度・利用の流れ
褥瘡ケアに関連する費用は、利用するサービスや状況によって異なります。主な制度を以下にまとめます。
介護保険による支援
要介護認定を受けている方は、介護保険を活用してさまざまなサービスを利用できます。
| サービス | 内容 |
|---|---|
| 訪問看護 | 褥瘡の処置・観察・指導(医師の指示のもとで実施) |
| 訪問入浴介護 | 寝たきりなど入浴困難な方への専用浴槽による入浴支援 |
| 福祉用具貸与 | 体圧分散マットレス・エアマット等の貸し出し |
※利用者の自己負担は原則1〜3割。具体的な金額はケアマネジャーへご確認ください。
医療保険による訪問診療・訪問看護
在宅療養中の方に医師が定期的に訪問して診察・治療を行う「訪問診療」は、医療保険が適用されます。褥瘡の程度が重い場合や感染兆候がある場合は、医師による処置や外用薬の処方が必要となることがあります。
また、厚生労働省の「在宅療養支援診療所」の届出を行っているクリニックでは、24時間対応の体制を整えている場合があります。
福祉用具の選定と費用
体圧分散マットレスやクッションは褥瘡予防に有効な用具です。介護保険の福祉用具貸与(要介護2以上が原則)または特定福祉用具購入として費用の一部が支給される場合があります。詳細はケアマネジャーや福祉用具専門相談員にご相談ください。
あざみ野の訪問診療で対応できること
メディカルクリニックあざみ野では、横浜市青葉区・都筑区を中心とした地域で、在宅療養中の患者さんへの訪問診療を行っています。褥瘡・皮膚トラブルに関しては、以下のような対応が可能です(対応可否は患者さんの状態や状況により異なります)。
- 褥瘡の評価・診断(DESIGN-R®による重症度評価)
- 医師による処置・外用薬の処方
- 訪問看護ステーションとの連携指示
- 栄養状態の評価と栄養管理のサポート
- 福祉用具選定に関する医師意見書の作成
- 家族・ヘルパー向けのケア指導(訪問看護師と連携)
「皮膚の色が変わってきた」「傷がなかなか治らない」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。
ご相談・お問い合わせ(CTA)
ご自宅や施設での褥瘡・皮膚ケアについて、まずはお気軽にお問い合わせください。訪問診療の対象地域や対応可能な内容についても、電話やウェブフォームからご確認いただけます。
→ 在宅医療のご相談・お問い合わせはこちら
→ お電話でのご相談:TEL 045-978-0455
よくある質問(FAQ)
A. 「褥瘡」はじょくそうと読みます。「床ずれ(とこずれ)」は同じ状態を指す一般的な呼び方です。医療・介護の現場では「褥瘡」という用語が使われますが、意味は同一です。
A. 大きく3つが重要とされています。①定期的な体位変換(おおむね2時間ごとが目安とされていますが、個人差があります)、②皮膚の清潔と保湿(失禁・発汗後の速やかなケア含む)、③適切な栄養管理(低栄養は褥瘡のリスクを高めます)です。体圧分散マットレスの使用も有効な手段のひとつです。具体的なケア方法はケアマネジャーや訪問看護師とご相談ください。
A. 発赤がある程度(ステージI相当)で皮膚が破れていない段階であれば、圧迫除去・保湿・皮膚保護材の使用などを適切に行うことで改善が期待できる場合があります。ただし、水疱・びらん・壊死組織が見られる場合は医師の診察と処置が必要です。自己判断のみでの対応はリスクを伴う可能性がありますので、訪問診療や訪問看護にご相談されることをお勧めします。初期症状の詳細については床ずれの初期症状と対処|写真でわかる進行度をご参照ください。
A. 入浴の頻度は本人の体力・状態・季節等を考慮して決定します。毎日が必ずしも必要というわけではありません。褥瘡がある方の入浴については、傷の状態・深さ・感染の有無によって医師・看護師の判断が必要です。入浴が困難な場合は清拭(せいしき)や部分浴で清潔を保つ方法もあります。詳しくは入浴介助の手順と注意点|在宅での安全な方法をご覧ください。
A. 訪問診療は医師が自宅に訪問して診察・診断・処方・処置などを行うサービスです。訪問看護は看護師が訪問して、医師の指示のもと処置・観察・療養指導などを行います。褥瘡のケアでは、医師が処方した外用薬を看護師が定期的に処置・観察するというかたちで両者が連携することが一般的です。費用・頻度・保険の種別については、担当のケアマネジャーまたは当クリニックへお気軽にお問い合わせください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門:消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。