誤嚥とは?原因・サイン・在宅でできる誤嚥予防

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誤嚥とは?原因・サイン・在宅でできる誤嚥予防

食べ物や飲み物、あるいは唾液が、食道ではなく気道(気管)へ入ってしまうことを誤嚥(ごえん)といいます。誤嚥は高齢者に多く、繰り返すことで誤嚥性肺炎のリスクが高まります。本記事では、誤嚥の定義から原因・サイン、家庭でできる対応までをわかりやすく解説します。日常的な気づきと早期対応が、誤嚥性肺炎の予防につながります。

本記事は医学的根拠に基づく一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療を保証するものではありません。症状が気になる場合は医師にご相談ください。

誤嚥とは?

誤嚥とは、本来ならば食道から胃へ送られるべき飲食物・唾液・胃液などが、誤って気管や肺へ流れ込んでしまう状態を指します。

私たちが飲み込む(嚥下する)際には、喉頭蓋(こうとうがい)という弁が気管の入り口をふさぎ、食物が食道へ向かうよう制御しています。この精巧な嚥下機能が低下すると、食道と気管の”振り分け”がうまくいかず、誤嚥が起こりやすくなります。

厚生労働省の統計では、肺炎は日本人の死因の上位を占めており、高齢者の肺炎の多くが誤嚥性肺炎であることが知られています。誤嚥そのものを早期に発見し、適切に対処することが重要です。

→ 嚥下・食事・栄養に関する総合情報は高齢者の嚥下・食事・栄養ケア ガイドもあわせてご覧ください。

主な症状・初期サイン

誤嚥が起きたとき、または起きやすい状態にあるときに現れるサインには以下のようなものがあります。

  • 食事中・食後のむせ込み(特に水分やサラサラした液体で起こりやすい)
  • 食事に時間がかかる、疲れやすい
  • 食後に声がかすれる・「ガラガラ声」になる(湿性嗄声)
  • 食後に咳が続く
  • 食欲の低下、体重減少

これらのサインは嚥下機能の低下を示している可能性があります。

見逃しやすいサイン

特に注意が必要なのが不顕性誤嚥(ふけんせいごえん)です。不顕性誤嚥とは、むせや咳などの症状がないまま、気管へ飲食物・唾液が流れ込んでしまうケースを指します。

  • 夜間就寝中に唾液が気管に入る(夜間不顕性誤嚥)
  • 食事中にまったくむせないが、微量の食物が繰り返し気管へ流入している

このタイプは本人も周囲も気づきにくく、知らぬ間に誤嚥性肺炎が進行してしまうリスクがあります。「むせないから大丈夫」とは言い切れない点に注意が必要です。

原因・なりやすい人

誤嚥が起こりやすくなる主な原因は次のとおりです。

原因 具体例
加齢による嚥下機能低下 筋力・反射の衰え、唾液分泌の減少
神経・筋疾患 脳卒中後遺症、パーキンソン病、ALS など
口腔環境の悪化 義歯の不適合、口腔内乾燥、歯周病
薬の影響 抗精神病薬、睡眠薬など嚥下反射を抑制する薬剤
認知症 食物の認識低下、食事動作の障害
頭頸部・食道の疾患 食道がん術後、頭頸部がん治療後など

特に75歳以上の後期高齢者、脳卒中経験者、認知症の方、長期臥床(ちょうきがしょう)の方はリスクが高いとされています。また、栄養不足による全身筋力低下(サルコペニア)も嚥下関連筋に影響します。詳しくは高齢者向け栄養補助食品の選び方|低栄養対策もご参照ください。

家庭でできる対応・観察のポイント

在宅での誤嚥予防・観察として、以下のポイントが参考になります。

食事環境・姿勢の工夫
  • 食事は座位(椅子やベッドを30〜60度以上に起こした姿勢)で行う
  • 食後すぐに横にならず、30分程度は上体を起こした姿勢を保つ
  • 一口量を小さくし、ゆっくり食べる
食形態の調整
  • 水分はとろみ剤でとろみをつけると誤嚥しにくい場合があります
  • 固すぎる食品、バラバラになりやすい食品(例:豆、海苔など)は注意が必要
  • 食形態の調整は嚥下機能の評価に基づいて行うことが望ましいため、医師や言語聴覚士に相談するとよいでしょう
口腔ケアの徹底

口腔内の細菌を減らすことは、誤嚥性肺炎の予防に直結します。食後の歯みがき・うがい、義歯の洗浄を毎日行いましょう。

観察記録の活用
  • むせの頻度・タイミング・食品の種類を記録する
  • 発熱・咳・痰の変化を把握する
  • 体重の変化を定期的に確認する
受診・相談の目安(危険なサイン)

以下のような状態が見られる場合は、速やかに医師にご相談ください。

  • 38度以上の発熱が続く、または繰り返す
  • 痰の量が増えた、黄色・緑色の痰が出る
  • 食事量が著しく減り、体重が急激に低下している
  • 意識がもうろうとしている、呼びかけへの反応が鈍い
  • 呼吸が苦しそう、口唇や爪の色が青紫っぽい(チアノーゼ)

これらは誤嚥性肺炎の症状として現れることがあるサインです。早期受診により重症化を防ぐことが期待できます。在宅療養中で通院が難しい場合は、訪問診療・在宅医療のご利用もご検討ください。

在宅医療のご相談・お問い合わせからお気軽にご連絡ください。

関連キーワード補足
誤嚥性肺炎とは

誤嚥によって口腔内の細菌が気管・肺に入り込み、炎症が起こる肺炎です。高齢者の肺炎の多くを占めます。

誤嚥性肺炎の症状・症状が出るまで

発熱・咳・痰の増加が代表的ですが、高齢者では発熱しないケース(非典型的症状)もあります。食欲低下・倦怠感・ぼんやりとした意識の変化だけで現れることもあるため注意が必要です。また、不顕性誤嚥では症状が出るまでに時間がかかることがあり、気づかぬうちに肺炎が進行する場合があります。

誤嚥性肺炎の予防

口腔ケア、姿勢管理、食形態の工夫、嚥下訓練が予防の柱です。ワクチン接種(肺炎球菌ワクチン・インフルエンザワクチン)も合併症リスクの低減に役立つとされています。詳細は誤嚥性肺炎とは?原因・症状・在宅での予防をご覧ください。

あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)

メディカルクリニックあざみ野では、在宅・訪問診療において嚥下機能の評価・食形態の指導・誤嚥性肺炎の予防管理をサポートしています。「最近むせが増えた」「食事量が減ってきた」「通院が難しい」といったお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

在宅医療のご相談・お問い合わせ / TEL 045-978-0455

よくある質問(FAQ)

Q1. むせがなければ誤嚥の心配はないですか?
A. 必ずしもそうとは言えません。「不顕性誤嚥」といってむせや咳が出ないまま誤嚥が繰り返されるケースがあります。食後の声のかすれ、発熱の繰り返しなど他のサインにも注意してください。

Q2. 水やお茶でむせやすいのはなぜですか?
A. 水分はサラサラと流れるため、嚥下反射が起きる前に気管へ流れ込みやすい性質があります。とろみ剤でとろみをつけることで誤嚥しにくくなる場合があります。ただし、適切なとろみの濃度は個人差がありますので、医師や言語聴覚士にご相談ください。

Q3. 誤嚥は治りますか?
A. 原因によって異なります。嚥下訓練や口腔ケア、姿勢管理などによって嚥下機能が改善する場合もあります。一方、神経疾患の進行など根本原因の影響が大きい場合は、機能低下を可能な限り緩やかにすることが目標となります。医師や専門職と相談しながら対応方針を検討することが大切です。

Q4. 認知症があると誤嚥しやすいですか?
A. はい、認知症の進行に伴い食事への集中が難しくなったり、嚥下の指令がうまく伝わりにくくなったりするため、誤嚥リスクが高まる傾向があります。食事環境の整備や介助方法の工夫が重要です。

Q5. 誤嚥性肺炎を繰り返す場合、胃ろうは検討すべきですか?
A. 誤嚥性肺炎を繰り返す場合、栄養摂取経路について医師・家族・本人を交えて検討することがあります。胃ろうはあくまで選択肢のひとつであり、本人の意向・全身状態・生活の質を総合的に考慮して判断します。詳しくは胃ろうとは?メリット・デメリット・在宅での管理もご参照ください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 理事長
専門: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全

略歴:

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:

厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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  • 薬剤情報提供書またはお薬手帳の写し
  • 医療保険証・公費証明書・各種受給者証の写し
  • 介護保険証・介護保険負担割合証の写し
  • 限度額適用認定証等の写し
  • 印鑑