ケアマネ・専門職のための実務ガイド
居宅介護支援事業所とは?役割・選び方・費用
居宅介護支援事業所とは、介護保険法に基づき都道府県(政令市・中核市)の指定を受けた事業所であり、ケアマネージャー(介護支援専門員)が在籍してケアプランの作成や各種サービスの調整を担う「在宅介護の司令塔」です。 利用者側の自己負担はなく(全額介護保険給付)、要介護認定を受けた方であれば原則として費用を気にせず相談・依頼できます。
本記事では、居宅介護支援事業所の仕組みや費用、利用開始までの流れを、ケアマネジャーをはじめ在宅医療に携わる専門職・ご家族に向けてわかりやすく解説します。
居宅介護支援事業所とは?
居宅介護支援事業所は、介護保険法第46条に基づき指定を受けた事業者が運営する機関です。在籍するケアマネージャー(介護支援専門員)が、利用者の状態・生活環境・本人の意向をアセスメントし、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成します。さらに、ホームヘルプ・訪問看護・通所介護・福祉用具貸与・訪問診療など多職種のサービスを束ね、定期的にモニタリング(状態の確認・評価)を行います。
詳しい役割や相談できる内容については、姉妹記事「ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?役割と相談内容」もあわせてご参照ください。
また、本記事は「ケアマネ・専門職のための実務ガイド」の一部として位置づけられています。居宅介護支援に関連するより幅広い実務情報はピラーページをご覧ください。
費用の内訳と相場
初期費用・月額の目安
居宅介護支援事業所に支払う費用(ケアマネジメント費)は、全額が介護保険から給付されるため、利用者・家族の自己負担は原則ゼロです(2025年4月時点)。
ただし、介護報酬の単位数は要介護度やサービスの複雑さによって異なります。
| 要介護度 | 居宅介護支援費(I)の単位数 ※ |
|---|---|
| 要介護1・2 | 1,076単位/月 |
| 要介護3・4・5 | 1,398単位/月 |
※1単位=約10〜10.7円(地域区分により異なる)。上記は厚生労働省「令和6年度介護報酬改定」に基づく参考値。実際の額は所在地の地域区分や事業所の算定状況により変動します。
なお、ケアプランの内容や単位数の上限は原則として厚生労働大臣が定める基準に準拠しており、事業所が独自に変更することはできません。
費用を抑える制度・軽減措置
利用者自己負担がゼロであるため、居宅介護支援そのものの「費用を抑える」という概念は基本的に該当しません。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 特定事業所集中減算:同一の訪問介護事業所等に紹介が集中した場合、事業所側の報酬が減算される仕組みがあり、利用者にとって公正中立なサービス紹介が担保されています。
- 介護保険負担割合:居宅介護支援費は保険給付の対象外(全額給付)のため、負担割合証の1〜3割は適用されません。一方、ケアプランに位置づけられた他のサービス(訪問介護等)には負担割合が適用されます。
- 高額介護サービス費:月額の自己負担合計が一定額を超えた場合に還付される制度です(居宅介護支援費は自己負担がないため合算対象外)。
費用シミュレーション例
【例】要介護2・都市部(1単位=10.45円)の場合
居宅介護支援費(I)1,076単位 × 10.45円 ≒ 約11,244円/月(全額保険給付、自己負担0円)
なお、訪問診療や訪問看護・ホームヘルプなど、ケアプランに組み込まれた各サービスの費用は別途かかります。総額の試算はケアマネジャーや在宅医療の問い合わせページでもご相談いただけます。
申請・利用開始までの流れ
- 要介護認定の申請:市区町村の窓口または地域包括支援センターへ申請(代行可)。
- 認定調査・判定:訪問調査と主治医意見書をもとに要介護度が決定(申請から概ね30日以内)。
- 居宅介護支援事業所の選択:市区町村の一覧や地域包括支援センターの紹介を参考に選ぶ。事業所は複数比較することが推奨されます。
- ケアマネジャーとの契約:重要事項説明書に基づき契約を締結。
- アセスメント・ケアプラン作成:自宅を訪問して利用者・家族の状況を把握し、原案を作成。
- サービス担当者会議(カンファレンス)の開催:関係する各サービス事業者・医療職が集まり、ケアプランの内容を確認・合意します。カンファレンスの目的や進め方については「サービス担当者会議(カンファレンス)とは?目的と進め方」をご参照ください。
- サービス利用開始・モニタリング:少なくとも月1回の訪問・電話等によるモニタリングが義務づけられています。
関連キーワード補足
居宅介護支援事業所とは(まとめ)
介護保険法に基づき指定を受け、ケアマネージャーがケアプラン作成・サービス調整・モニタリングを行う事業所。利用者の自己負担は原則ゼロです。
ケアマネージャー(介護支援専門員)とは
介護支援専門員は、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)に合格し、実務研修を修了することで資格を取得できます。5年ごとの更新が必要で、更新研修の受講が義務づけられています。
ケアマネ更新研修廃止について
2024年度の制度改正に関連し「ケアマネ更新研修廃止」という情報が検索されることがありますが、2025年4月時点で更新制度そのものは廃止されていません。更新要件の見直しや研修カリキュラムの改訂が議論・実施されている段階です。最新情報は厚生労働省や各都道府県の公式情報をご確認ください。
カンファレンスとは
「カンファレンス」とは、医療・介護の現場において多職種が集まって情報を共有し、支援方針を協議する会議の総称です。介護保険制度では「サービス担当者会議」がこれに相当し、ケアプランの節目ごとに開催が義務づけられています。
身体拘束(介護現場における注意点)
居宅介護においても、身体拘束は原則禁止されており、「緊急性・非代替性・一時性」の3要件を満たす場合に限り例外として認められます。詳細は「身体拘束とは?3原則・禁止行為・例外を解説」をご覧ください。
あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)
メディカルクリニックあざみ野では、居宅介護支援事業所のケアマネジャーと連携しながら、在宅での訪問診療・訪問医療を提供しています。高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全など、療養上の医療的サポートが必要な場面では、ケアプランへの医療サービスの組み込みをともに検討することが可能です。
ご本人・ご家族だけでなく、担当ケアマネジャーからのご相談・連携依頼もお気軽にどうぞ。
📞 TEL: 045-978-0455
よくある質問(FAQ)
Q1. 居宅介護支援事業所は自分で選べますか?
はい、利用者・家族が自由に選択できます。市区町村が発行する事業所一覧や地域包括支援センターの紹介を活用し、複数の事業所を比較・検討することが推奨されます。
Q2. 居宅介護支援事業所を途中で変更することはできますか?
可能です。現在の担当ケアマネジャーや事業所に変更の意向を伝え、新しい事業所と契約すれば引き継ぎが行われます。ケアマネジャーとの関係性や対応への不満など、理由に関わらず変更は認められています。
Q3. 要支援の方は居宅介護支援事業所を利用できますか?
要支援1・2の方は居宅介護支援事業所ではなく、地域包括支援センターが介護予防ケアマネジメントを担当します(介護予防支援事業所として機能)。ただし、地域包括支援センターから居宅介護支援事業所へ一部業務が委託される場合もあります。
Q4. ケアマネジャーは何人まで担当できますか?
介護保険法の基準では、ケアマネジャー1人あたりの担当件数は原則35件以下とされています(うち施設入所者が多い場合は別途基準あり)。担当件数が多いと十分なモニタリングが難しくなる場合があるため、選択時の参考にしてください。
Q5. ケアプランは自分で作ることもできますか?
「セルフケアプラン(自己作成)」として、利用者本人がケアプランを作成することも制度上可能です。ただし、サービス事業者との連絡調整・給付管理票の作成など専門的な手続きが必要なため、一般的には居宅介護支援事業所への依頼が推奨されます。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門領域: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員/全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー/神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役