ケアマネ・専門職のための実務ガイド
サービス担当者会議(カンファレンス)とは?目的と進め方
サービス担当者会議(カンファレンス)とは、介護保険制度においてケアマネジャー(介護支援専門員)が主催し、利用者・家族・関係する専門職が一堂に会して、ケアプランの内容を確認・共有・検討する会議のことです。在宅介護の現場では「カンファレンス」と呼ばれることが多く、多職種連携の要として法令上も実施が義務づけられています。本記事では、その定義・目的・進め方・注意点をわかりやすく解説します。
カンファレンスとは?(定義・目的)
法的な位置づけ
介護保険法に基づく厚生労働省の「居宅介護支援の人員及び運営に関する基準」において、ケアプランの作成・変更の際にはサービス担当者会議(カンファレンス)の開催が義務づけられています(第13条第9号)。主な開催タイミングは以下のとおりです。
- 新規のケアプラン作成時
- ケアプランの更新・変更時(要介護度の変更認定後など)
- サービス内容を大きく変更するとき
- その他、担当者間での情報共有が必要と判断されるとき
会議の目的
カンファレンスの最大の目的は、利用者一人ひとりの生活状況や医療・介護ニーズを多職種で正確に共有し、ケアの質を高めることです。医師・訪問看護師・リハビリ職・ヘルパー・福祉用具専門相談員など、それぞれの立場からの情報が集まることで、ケアプランの精度が向上します。
仕組み・種類
基本的な参加者
| 役割 | 主な職種 |
|---|---|
| 主催・司会 | ケアマネジャー(介護支援専門員) |
| 本人・家族 | 利用者本人、主たる介護者 |
| 医療職 | 主治医・訪問看護師・薬剤師など |
| 介護職 | ヘルパー・デイサービス職員など |
| リハビリ職 | 理学療法士・作業療法士など |
| 福祉用具 | 福祉用具専門相談員 |
開催形式
- 対面形式:全員が一箇所に集まる従来の形式。情報共有の確実性が高い。
- 書面照会:移動が困難な場合や日程調整が難しい場合に、書面でやり取りする形式。ただし、厚生労働省の通知ではやむを得ない事情がある場合に限るとされており、対面が原則です。
- ICTの活用:2021年度介護報酬改定以降、テレビ電話等を活用したオンライン開催も条件付きで認められています。
会議の流れ(一般的な例)
- ケアマネジャーが会議の目的・議題を説明
- 利用者・家族の状況・意向を確認
- 各専門職がそれぞれの視点から情報提供
- ケアプランの内容・サービス内容を検討・合意
- 担当者サインを含む「サービス担当者会議の要点(第4表)」に記録
メリット・デメリット
メリット
- ケアの統一化:全員が同じ情報を共有することで、サービスの方向性がそろい、ケアの一貫性が高まります。
- 見落としの防止:一職種では気づきにくい医療・生活上の問題を多角的に発見できます。
- 家族・利用者の理解促進:会議に参加することで、家族もケアの全体像を把握しやすくなります。
- 信頼関係の構築:専門職同士・家族との信頼関係が深まり、その後の連携がスムーズになります。
デメリット・課題
- 日程調整の難しさ:多職種が参加するため、全員の都合を合わせることが容易ではありません。
- 会議時間の確保:参加者によっては、業務の合間に時間を確保することが負担になる場合があります。
- 書面照会への偏り:日程調整が難しい場合に書面照会で代替されるケースがありますが、情報共有の深度が対面に比べて低くなる可能性があります。
在宅での管理・注意点
在宅療養中の高齢者のカンファレンスでは、医療と介護の情報を同じ場で共有できることが特に重要です。たとえば、訪問診療医からの医学的情報(服薬状況・病状変化・治療方針)が介護職員に正確に伝わることで、日常ケアの質が向上します。
家族が気をつけること
①本人の意向を事前に整理しておく
カンファレンスでは「本人がどのような生活を望んでいるか」が議論の出発点となります。家族も本人の希望を事前に把握し、代弁できるよう準備しておくと会議がスムーズに進みます。
②遠慮せず疑問を伝える
専門職が集まる場は、日頃の介護の疑問・不安を伝える貴重な機会です。「夜間の対応はどうすればよいか」「転倒リスクが心配」など、些細なことでも積極的に発言しましょう。
③会議後の変更点を確認する
会議の結果、サービスの追加・変更がある場合は、ケアマネジャーから書面(ケアプラン) で交付されます。内容をよく確認し、不明点はその都度質問することが大切です。
④記録を保管する
会議で決まった内容は、後から確認できるよう家族側でも控えを保管しておくことをお勧めします。
受診・相談の目安
以下のような状況がある場合は、カンファレンスの開催やケアプランの見直しをケアマネジャーに相談することを検討してください。なお、医療的な判断が必要な場合は、かかりつけ医・訪問診療医への相談が前提となります。
- 病状や体調が大きく変化した
- 転倒・骨折など、新たな健康上のできごとがあった
- 家族の介護力が変化した(同居家族の入院・転居など)
- 利用しているサービスへの不満や疑問がある
- 施設への入居を検討し始めた
在宅医療に関することは、在宅医療のご相談・お問い合わせよりお気軽にご連絡ください。
関連キーワード補足
ケアマネージャー(介護支援専門員)とは
ケアマネージャー(ケアマネ)は、介護保険法に基づく専門職で、正式名称は介護支援専門員といいます。利用者のニーズを把握し、ケアプランを作成・管理するとともに、サービス担当者会議を主催して多職種の連携を調整する中心的な役割を担います。詳しくはケアマネジャー(介護支援専門員)とは?役割と相談内容をご覧ください。
ケアマネ更新研修廃止について
2024年度以降、介護支援専門員の更新研修制度は見直しが議論されており、「更新研修廃止」という言葉が検索されることがあります。ただし、2025年時点で資格の更新制度自体が完全に廃止されたわけではなく、研修の一部簡略化・見直しが行われている段階です。最新情報は厚生労働省または各都道府県の公表情報をご確認ください。
身体拘束(拘束)とカンファレンスの関係
介護施設や在宅ケアにおける身体拘束(拘束)は、原則として禁止されています。やむを得ない場合の例外(緊急性・非代替性・一時性の3原則)が認められていますが、その判断にはカンファレンスを通じた多職種での合意と記録が求められます。詳細は身体拘束とは?3原則・禁止行為・例外を解説をご覧ください。
居宅介護支援事業所とは
居宅介護支援事業所は、ケアマネジャーが所属し、在宅で介護サービスを利用する方のケアプラン作成・相談を担う事業所です。カンファレンスもここを拠点に開催されることが多く、在宅ケアの司令塔的な役割を果たします。詳しくは居宅介護支援事業所とは?役割・選び方・費用をご覧ください。
あざみ野の訪問診療によるサポート(CTA)
メディカルクリニックあざみ野では、在宅療養中の高齢者・がん患者・心不全・呼吸不全の方を対象とした訪問診療を行っています。サービス担当者会議(カンファレンス)への医師参加や、ケアマネジャー・訪問看護師との多職種連携にも積極的に対応しています。
「主治医としてカンファレンスに参加してほしい」「在宅医療への移行について相談したい」など、どのようなことでもお気軽にご連絡ください。
📞 TEL: 045-978-0455
よくある質問(FAQ)
Q1. カンファレンスには必ず本人も参加しなければなりませんか?
A. 本人・家族の参加が原則とされていますが、本人の体調や認知機能の状態によって参加形式は柔軟に対応できます。参加が難しい場合は、事前に意向を確認した上でケアマネジャーが代弁する形が一般的です。
Q2. カンファレンスは何日前に通知が必要ですか?
A. 法令上、明確な通知期日は定められていませんが、参加者全員の日程調整が必要なため、実務的には1〜2週間前までに案内することが望ましいとされています。急を要する場合は書面照会で対応することもあります。
Q3. カンファレンスに参加する専門職の費用は誰が負担しますか?
A. サービス担当者会議への参加は、各事業所の業務として位置づけられており、利用者・家族が別途費用を負担する必要は原則ありません。ただし、事業所の規定により異なる場合もあるため、不明な点はケアマネジャーにご確認ください。
Q4. 主治医がカンファレンスに参加しない場合はどうなりますか?
A. 医師が参加できない場合、書面照会(医師への意見照会)という形で医学的情報を収集することができます。在宅訪問診療医がいる場合は、医師の参加がより実現しやすくなります。
Q5. カンファレンスの記録は誰が作成しますか?
A. ケアマネジャーが「サービス担当者会議の要点(第4表)」を作成します。この書類は法令上の保存義務書類であり、参加者全員の氏名・意見が記録されます。家族も内容の確認を求めることができます。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/メディカルクリニックあざみ野 院長
専門領域: 消化器外科 / 在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター 外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院 副理事長、日立おおみか病院 理事を経て現在に至る。
公的役割
- 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員
- 全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー
- 神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役