在宅でのがん緩和ケア
メディカルクリニックあざみ野では、がん患者様の痛みや不快な症状を和らげ、住み慣れた自宅で自分らしく過ごせるよう、専門的な緩和ケアを提供しています。患者様とご家族の希望に寄り添い、チーム医療で安心の在宅生活をサポートいたします。
がん緩和ケアの目的と内容
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者さんとそのご家族に対して、痛みやつらさを和らげ、生活の質(QOL)を改善するための包括的なアプローチです。
世界保健機関(WHO)の定義では、緩和ケアは以下を目的としています:
- 痛みやその他の苦痛となる症状を緩和する
- 生命を尊重し、死にゆくことを自然な過程と捉える
- 患者さんの心理的・スピリチュアルなケアを統合する
- 患者さんが最期まで人生を積極的に生きられるよう支援する
- 家族が病気の間も死別後も対処できるように支援する
当院の在宅緩和ケアでは、がんの進行状態に関わらず、診断された時点から必要に応じてケアを提供します。積極的な治療を受けながらの緩和ケアも可能です。
痛みのコントロール
がんの痛みは、適切な医療用麻薬(オピオイド)や鎮痛補助薬を用いることで、約90%のケースで十分にコントロールできることが分かっています。在宅でも病院と同様に、WHO方式がん疼痛治療法に基づいた適切な疼痛管理を行います。
使用する主な薬剤
- 非オピオイド鎮痛薬:アセトアミノフェン、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)など
- オピオイド鎮痛薬(医療用麻薬):モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルなど
- 鎮痛補助薬:神経障害性疼痛に対する抗けいれん薬、抗うつ薬など
医療用麻薬に対する誤解や不安も丁寧に解消し、患者様とご家族が安心して治療を受けられるようサポートします。
心のケアとご家族サポート
がんによる身体的な苦痛だけでなく、患者様とご家族の心理的・社会的・スピリチュアルな側面にも配慮したケアを提供します。
患者様への心理的サポート
不安やうつ状態への適切な対応、傾聴と共感を基本とした対話、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)の支援、希望を支える関わり、患者様の価値観や信念を尊重したケアを行います。
ご家族へのサポート
介護方法の指導と相談対応、レスパイトケア(介護者の休息)の提案、グリーフケア(悲嘆のサポート)、利用可能な社会資源の紹介、24時間の相談体制による安心感の提供などを行います。
症状緩和の具体的方法
痛み以外にも、がんに伴うさまざまな症状に対して、薬物療法や非薬物療法を組み合わせて効果的に対応します。
呼吸困難感への対応
酸素療法、姿勢の工夫、薬物療法(モルヒネなど)、リラクゼーション法などを組み合わせ、息苦しさを和らげます。在宅酸素療法の手配も行います。
食欲不振・悪心・嘔吐
制吐剤の適切な使用、食事の工夫、少量頻回摂取の提案、食事環境の整備などを行います。必要に応じて点滴や栄養補助食品の導入も検討します。
倦怠感・だるさ
原因に応じた対応(貧血や電解質異常の補正など)、適度な活動と休息のバランス、ステロイドの使用などを検討します。
よくあるご質問
在宅緩和ケアの費用はどのくらいかかりますか?
在宅緩和ケアの費用は主に医療保険から支払われます。70歳以上の医療保険1割負担の方の場合、月2回の訪問診療で約6,000~7,000円/月(医療保険分)、居宅療養管理指導費(介護保険)が約600円/月で、総合計は約6,600~7,600円/月が一般的です。
医療用麻薬を使用する場合も保険適用となりますが、種類や量によって自己負担額は変動します。また、高額療養費制度を利用することで、月々の医療費負担を軽減できる場合があります。
どのような患者さんが対象になりますか?
以下のような方が対象となります:
- がんの診断を受けた方(ステージを問わず)
- 痛みや不快な症状がある方
- 自宅で過ごしたいという希望がある方
- 通院が困難な方
- 終末期を自宅で過ごしたい方
病院での治療と並行して在宅緩和ケアを受けることも可能です。まずはご相談ください。
お問い合わせ・ご相談
在宅でのがん緩和ケアについてのご質問やご相談は、お電話でお気軽にお問い合わせください。
専門スタッフが丁寧にご説明いたします。訪問診療のご希望や、緩和ケアについての不安なことがございましたら、いつでもご連絡ください。
受付時間:平日 9:00~18:00