脂質異常症
脂質異常症は、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)や中性脂肪が過剰になる、またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が減少する状態です。放置すると動脈硬化を進行させ、心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気のリスクが高まります。当院では適切な検査と治療で、脂質異常症を管理し、健康な生活をサポートします。
脂質異常症の重要性
脂質異常症の管理は、動脈硬化性疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の予防において非常に重要です。特にLDLコレステロールと中性脂肪の管理が心血管イベントのリスク低減に直結します。
動脈硬化リスク評価
以下の要素を総合的に評価し、個人に合わせた治療目標と計画を設定します。
- 家族歴:親族に心筋梗塞や脳卒中の発症者がいる場合、リスクが高まります
- 喫煙:喫煙は動脈硬化を促進し、脂質異常症の悪影響を倍増させます
- 高血圧:血圧が高い状態は血管に負担をかけ、脂質異常症と相まって動脈硬化を加速させます
- 糖尿病:糖尿病があると脂質異常症がより危険な状態となります
- 年齢・性別:男性や閉経後の女性はリスクが高くなります
- 既往歴:過去に心疾患や脳血管疾患があった方は特に注意が必要です
生活習慣アドバイス
- 食物繊維の摂取:野菜、果物、全粒穀物などの食物繊維が豊富な食品は、コレステロールの吸収を抑制します
- 魚の摂取:週に2回以上の魚(特に青魚)の摂取は、オメガ3脂肪酸が心血管疾患リスクを低減します
- 禁煙:喫煙は善玉コレステロールを減少させ、動脈硬化を促進するため、禁煙が強く推奨されます
- 適度な運動:週に150分以上の中等度の有酸素運動が効果的です
- アルコール:過度な飲酒は避け、適量を心がけましょう
目標設定
一次予防(心血管疾患の既往がない方)
リスク因子の数により目標値が異なります:
- 低リスク:LDL-C 160mg/dL未満
- 中リスク:LDL-C 140mg/dL未満
- 高リスク:LDL-C 120mg/dL未満
二次予防(心血管疾患の既往がある方)
より厳格な管理が必要です:
- LDL-C 100mg/dL未満(極めて高リスクの場合は70mg/dL未満)
中性脂肪の目標値
- 150mg/dL未満を目標とします
HDL-C(善玉コレステロール)
- 男性:40mg/dL以上
- 女性:50mg/dL以上
検査内容
脂質プロファイル検査
空腹時(10時間以上の絶食後)に採血を行い、以下の項目を測定します:
- 総コレステロール(TC)
- LDLコレステロール(悪玉)
- HDLコレステロール(善玉)
- 中性脂肪(TG)
- non-HDLコレステロール
肝機能検査
特に薬物療法を行う場合、定期的な肝機能のモニタリングが必要です:
- AST(GOT)
- ALT(GPT)
- γ-GTP
治療方法
食事療法
- 飽和脂肪酸の摂取制限(肉の脂身、バター、チーズなど)
- トランス脂肪酸の回避(加工食品、ファストフードなど)
- 食物繊維の積極的な摂取(野菜、果物、全粒穀物など)
- 魚類(EPA、DHAを含む)の定期的な摂取
運動療法
- 有酸素運動(ウォーキング、水泳、サイクリングなど)を週に3-5回
- 1回30分以上、中等度の強度で行うことが理想的
- 筋力トレーニングも週に2-3回取り入れると効果的
薬物療法
- スタチン:LDLコレステロールを効果的に下げる第一選択薬です
- エゼチミブ:腸からのコレステロール吸収を阻害します
- フィブラート系:主に中性脂肪を下げる効果があります
- EPA/DHA製剤:中性脂肪を下げる効果があります
フォロー体制
- 治療開始後2-3ヶ月で効果を評価
- 安定後は3-6ヶ月ごとに検査・診察を行います
- 薬物療法中は定期的な肝機能検査を実施
- 他のリスク因子(血圧、血糖など)も総合的に管理
医療連携体制
当院では脂質異常症の一般的な管理を行っておりますが、以下のような場合は専門医療機関と連携して診療にあたります:
- 家族性高コレステロール血症が疑われる場合
- 標準的な治療で目標値に達しない難治性の場合
- 薬物療法で副作用が出現した場合
- 動脈硬化の評価のため、頸動脈エコーや冠動脈CTなどの専門的な検査が必要な場合
- 心筋梗塞や狭心症などの心疾患を合併している場合
※ がん治療中(丸山ワクチン接種中)の患者様も多く通院されています。インフルエンザやコロナウイルス感染症が疑われる場合は、連携医療機関「AIプラスクリニックたまプラーザ」をご紹介しております。
お問い合わせ
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